“その道のプロ”が、髪の悩みやヘアケアに関する質問にお答え。今回は「Dクリニック東京 ウィメンズ」の院長・浜中聡子(はまなか さとこ) 先生に、「秋に増える抜け毛」についてお話を伺いました。
Q.秋は抜け毛が多くなる?
秋になって抜け毛が増えてきたように感じます
シャンプー後に排水溝にたまる毛の量が多くなった、朝起きた時に枕に抜け毛がたくさんついている、など最近いつもより髪が抜けている気がします。秋は抜け毛が多い季節だと聞いたのですが、一時的に増えているだけでしょうか?
秋になると抜け毛が増える理由と、これ以上抜け毛を増やさないために健康な頭皮を維持する方法を教えてください。(50代前半:女性)
A.浜中先生からの回答はこちら
そもそも抜け毛とは?
前提として抜け毛とは頭皮から自然と抜け落ちた髪のことを指します。髪にはヘアサイクルという周期があり、自然と髪が抜ける周期のことを休止期といいます。毛が伸びる成長期→毛の成長が止まる退行期→毛が抜ける休止期という流れで、休止期を迎えた髪が抜け毛となっても、このサイクルを繰り返して成長期の新しい髪に生え替わっていくので抜け毛そのものに対しては過度に心配しなくても◎。ただし、加齢とともに成長期が短く、休止期が長くなる傾向があるため、毛が十分に育たず抜け落ちてしまうこともあります。
秋に抜け毛が多くなる理由
[1]毛の生え代わりの季節
動物と一緒で季節の変わり目には人間にも毛が抜けやすくなり、特に秋口に多く、体質によってはっきり季節的な変動がある人とそうでない人がいます。ただ年齢を重ねるごとに変動が出やすくなるので敏感になりすぎなくても大丈夫です。
[2]夏バテによる生活習慣の乱れ
夏は食欲をなくし、麺類など喉ごしのよい炭水化物を中心とした食事が多くなります。その結果、髪の原料となるたんぱく質が不足し、抜け毛を誘引してしまいます。また、寝苦しい夜が続き、質のよい睡眠がとることができないと体に負担がかかり、夏にたまった疲れが秋の抜け毛を増やしてしまうこともあります。
[3]気温変化から引き起こされるホルモンバランスの乱れ
秋は残暑が厳しい日や、急に気温が低くなる日があったりと寒暖差の激しい季節です。寒暖差に体が対応しようとするあまり、自律神経やホルモンバランスが乱れやすくなり、薄毛や抜け毛が助長される方もいらっしゃいます。
どのくらい抜けるものなの?
1日80~100本ほどが一般的ですが、特に30代後半くらいからは季節による抜け毛量の変動を感じやすくなるため、秋口には普段の倍以上抜けることもあります。とはいえ、一般的に真冬に向かって抜け毛は落ち着いていくので安心してください。
抜け毛を増やさないための5つの対策
[1]積極的なタンパク質の摂取
髪は主にケラチンというタンパク質でできているため、肉や魚などのタンパク質を積極的に摂ることが望ましいです。
もちろんタンパク質だけ摂ればよいのではなく、ビタミンやミネラルといった成分は髪の新陳代謝を促進するために大事な栄養素なので、バランスの良い食事を心がけることが重要です。
[2]1日6時間以上の十分な睡眠
髪は寝ている間に分泌される成長ホルモンによって成長します。夜更かしをすると髪の成長を妨げてしまう可能性があるため、最低でも1日6時間は睡眠をとるようにしましょう。
[3]ウォーキングなどの軽い運動
適度な運動は血流改善に大いに有効です。健康な髪を育てるためには、体も健康な状態を保つ必要があります。生活に無理のない範囲でウォーキングやランニングなど軽い運動を行うとよいでしょう。
[4]ストレスをためない
過度のストレスは自律神経やホルモンバランスを乱す原因となるため、抜け毛が増えることがあります。趣味で息抜きをするなど、ストレスを発散することが大事です。
[5]頭皮環境を整える
イキイキとした髪を育てるために大切なのは、頭皮環境を整えることです。肥沃な土壌に立派な植物が育つように、髪も頭皮環境を整えることで、髪に必要な栄養素や酸素がたっぷりと行き渡るようになります。例えば、頭皮が汚れていたり、毛穴に余分な皮脂がつまっていたり、保湿が不足していると頭皮への負担になります。
正しいシャンプーの仕方
シャンプーは「髪を洗う」のではなく、皮膚である「頭皮を洗う」ものと考え、ゴシゴシ洗わず、正しくシャンプーをすることが頭皮を健やかに保つことになります。次の<正しいシャンプーの仕方>を参考に適切な洗髪を心がけましょう。
<正しいシャンプーの仕方>
【Step1:手の上でシャンプーを泡立てる】
手ぐしで髪をすすいだら、シャンプーを手のひらに適量とり泡立てる。髪に直接シャンプー剤をつけてゴシゴシ泡立てると、余計な摩擦が生じ頭皮の負担に。
【Step2:襟足から上へ向かって洗う】
襟足から徐々に上に向かって頭皮をマッサージするように洗う。襟足→後頭部→側頭部→前頭部→生え際の順。
【Step3:毛の流れに逆らうようにすすぐ】
シャワーは下から上に向けて、髪の毛の流れに逆らうように流す。トリートメントが頭皮に残らないように。
【Step4:頭皮にあててためすすぎをする】
シャワーを頭皮にあて手のひらにためた湯に頭皮を浸す“ためすすぎ”で、すすぎ残しを防止。
頭皮を清潔に保ち、適度に保湿することで、頭皮環境を整えましょう。
教えてくれたのは「Dクリニック東京 ウィメンズ」院長 浜中聡子(はまなか さとこ) 先生
医学博士。北里大学医学部卒業。国際アンチエイジング医学会専門医、米国抗加齢医学会専門医など国内外で多数活躍。女性専門の頭髪外来で薄毛、抜け毛などの治療を行っている。
「一日一日を丁寧に前向きに過ごし、早いうちから食事や運動などの基本的な内面のケアを行っていくことで薄毛になりにくい体質にしていくことはできます。仕事やプライベートも含め自分を後回しにしてしまう方が多くいらっしゃいますが、内面のケアを通して薄毛や抜け毛を予防しいきましょう。」(浜中先生)
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- 医療法人社団ウェルエイジング Dクリニック東京 ウィメンズ
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