京都“啓蟄”ノ彩リ、出逢ウ巡ル。/随心院
随心院とは
今回訪れたのは、京都山科にある随心院(ずいしんいん)。絶世の美人と称され、私たちには百人一首のイメージで親しみのある、平安時代の歌人 小野小町に縁深い場所として知られているお寺です。
真言宗善通寺派の大本山で、僧・仁海が一条天皇から下賜された寺地から曼荼羅寺を創建し、その後平安時代後期に塔頭(たっちゅう)のひとつとして、随心院は建てられました。
この仁海僧正は「雨僧正」とも呼ばれ、時の天皇からの命令を受けて、神泉苑にて雨乞いの修法を行い、龍神を召喚して雨を降らせたとされています。また小町にも雨乞い伝説があり、小町が同じく神泉苑で雨乞いの歌を読むと、天の川をこぼしたように雨が降ってきたようです。
その当時、日照りによる飢饉などは、生命に直結する大問題でしたので、雨を降らせるという行為は、尊敬や親しみを集めたに違いありません。
小町の一生を描いたアートな襖絵は圧巻
寺院内を散策していると、ぱっと華やかな景色が目の前に広がります。表書院「能の間」に飾られている襖絵「極彩色梅匂小町絵図」です。2009年に納められた、こちらの作品は、「生誕の図」「饗宴の図」「伝承の図」「夢幻の図」の4つから構成されており、小町の生涯を描いたものとされています。
襖絵全体には発色の良い艶やかな、はねず色が用いられており、秋田で生まれた小町が、どのように宮中で過ごし、恋をして、晩年を過ごしたのか、今までにない角度で、知ることが出来ます。所々に、近現代的なアイテムが描かれており、時代背景を知らない方でも情景を想像できるよう工夫がされているので、なにが描かれているのか探してみてください。
朱華色(はねずいろ)の梅
随心院の梅園には、白梅や紅梅など約200本近い木々が植えられています。白みおびた薄い紅色の花を咲かせる梅があれば、「はねず梅」かもしれません。
「はねず梅」の花色でもある朱華色は、天皇陛下のみに許される禁色(きんじき)のひとつとされた時期もある高貴な色味。また、とても退色しやすいことから、万葉集にはその特徴から「うつろいやすい心」にかけて詠まれることもありました。
「はねず梅」を眺めながら、そんな恋心に想いを馳せてみるのも素敵ですね。
随心院のよりみちスポット/マールブランシュ ロマンの森
森の公園をイメージした、癒しのスペースでゆったり
京都で有名なパティスリー、京都北山マールブランシュの工房併設ショップ「ロマンの森」でひと休み。
陽光が差し込む温かみのあるカフェスペースや、工房が覗くことができるカウンターの特等席、また晴れた日には木漏れ日を感じるテラス席など、気分に合わせて座席が選ぶことの出来る店内にわくわくします。
またマールブランシュの銘菓「お濃茶ラングドシャ 茶の菓」に、イメージキャラクターのロマンくんの焼き印がほどこされた限定商品が販売されているショップも。カフェにテラス、またまた絵本棚と、遊び心と優しさが溢れる「ロマンの森」を隅々まで探索したくなります。
パティシエが作った、本気のクロワッサン
ロマンの森といえば、焼きたてのクロワッサン(275円/店内飲食)が有名です。バターをたっぷり折り込んだパリパリとした食感、ミルクを使った生地のしっとりさ、パティシエが作るクロワッサンだからこそかなう、豊かな味わいがたまりません。
焼き上がりは1日3回あり、そのタイミングでカフェスペースにいると、香ばしさ溢れる甘い香りが店内いっぱいに広がります。焼きたてを狙って買いにくる地域の方が多いのも、うなづけます。
2023年3月から5月中旬頃までは、甘酸っぱいベリーと苺クリームの味わいが楽しめる「クロワッサン 苺&ラズベリー」(462円/店内飲食)も並ぶので、ぜひ食べ比べしてみてください。
マールブランシュ ロマンの森
住所/京都市山科区大塚北溝町30番地
営業時間/9:00~18:00(17:30L.O.)
定休日/なし
アクセス/京都市営地下鉄 東西線 東野駅から徒歩約15分
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連載「京都ノ彩リ、出逢ウ巡ル。」
京都を中⼼に広報・PRマーケターとして活躍する⻄井将哉さんが、⼆⼗四節気×⾊をテーマに神社仏閣や建築物など、京都のシンボルスポットを紹介する連載「京都ノ彩リ、出逢ウ巡ル。」。
古都京都は四季によって豊かな表情を持ち、その季節でしか楽しむことの出来ない景⾊や美⾷が盛り沢⼭。地域に根付いてきた歴史を感じながら、周辺をゆっくりお散歩してみませんか?
教えてくれたのは「西井将哉さん」
⻄井 将哉
TANK Inc. General Manager / PR ・ Creative Evangelist
⽴命館⼤学法学部を卒業後、⼤⼿ウエディング企業において、神社仏閣での伝統的婚礼プロデュースや、拝観促進の新規事業開発を担う。2019年、京都にある格式高い寺院での史上初となる、婚礼分野の事業企画•演出を成功させる。
その後、法曹業界での経営企画・広報を経てTANK Inc.にジョイン「伝統⽂化をより⾝近に。」を⼈⽣のテーマして、京都市京セラ美術館での商業的利⽤の環境整備や、歴史的建造物に関わるプロジェクト推進など、ユニークベニュー開発・利⽤促進の専⾨家として、多数の⾏政案件に携わる。
また母校における京都校友会常任幹事として、起業家と学生の"知の交流"が出来る機会を創出。得意とする新規事業立案やPRコンサルティングなどの専門分野を越えて、多方面に活躍の場を拡げ続ける。
【 Instagram 】Masaya Nishii
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【TANK.Inc HP】広報とPRのご相談
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