白峯神宮
京都観光特集

京都・白峯神宮が守ってきた蹴鞠文化と、球技スポーツ上達への祈願/京都ノ彩リ、出逢ウ巡ル。

更新日:2023/04/11

二十四節気×色をテーマに、京都在住の広報・PRとして活躍する西井さんが紹介する「京都ノ彩リ、出逢ウ巡ル。」。しっとりとした雨が穀物の新芽をうるおす「穀雨(こくう)」のころ。京都の白峯神宮からは、蹴鞠が跳ねる音が聞こえてきます。

平安時代には宮中の雅な遊びとして、鎌倉時代には武士の嗜みとして興じられてきた蹴鞠。今では球技スポーツにご利益がある社としても知られる、白峯神宮の「イロドリ」をご紹介します。

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京都“穀雨”ノ彩リ、出逢ウ巡ル。/白峯神宮

白峯神宮とは、そのはじまりは?

今回訪れたのは、京都堀川にある白峯神宮。1156年に起こった保元の乱によって讃岐国(現在の香川県)へ遷され、此の地で崩御された崇徳天皇の御霊(みたま)と、淡路島にて崩御された淳仁天皇を祀るために、明治天皇が創建された社です。

当時の日本は尊皇攘夷運動が高まり、新政府軍と旧幕府軍との争いが激しく、鳥羽・伏見の戦いが生じるなど激動の時代でした。そのような中、歴代天皇で唯一京都に帰って来ることが出来なかった、崇徳天皇の御霊によって国難が続いているといった信仰があり、御霊を鎮めるため、奉迎鎮座されることになったそうです。

崇徳天皇は怨霊として数々の文献に描かれることがありますが、決してそれだけでなく、歌人としての一面でも有名で、「瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われてもすゑに 逢はむとぞおもふ」という百人一首で、多くの人に知られています。

雅な宮廷文化を守り、球技スポーツ上達を願う

境内には「まりの神様」として、「精大明神」が祀られています。白峯神宮が建てられる以前は、蹴鞠・和歌の宗家である公卿 飛鳥井家の邸宅があり、そこで代々守護神として祀られてきた神様を受け継いだことが由緒とされています。

平安時代中頃より、宮中や公家においては盛んに鞠会が催され、多くの古文書にもその様子が描かれてきました。鎌倉時代には、武士階級でも盛んに蹴鞠が行われるようになり、江戸時代に入るころには一般の人たちにも愛される遊びとなりました。

そのような背景から、球技や習い事の上達にご利益があると考えられ、「精大明神」が祀られているお社では、日本サッカー協会をはじめとする、様々な分野のスポーツ団体から公式球が奉納され、現役のプロスポーツ選手たちも祈願に訪れているようです。

4月14日(金)の春季例大祭・淳仁天皇祭では、蹴鞠の技術に最も長けた長老が務め、楓に鞠をつけた「枝鞠」を解き放つ、古式ゆかしい解鞠式(ときまりしき)より始まる「蹴鞠奉納」が執り行われます。蹴鞠では、相手に受け取ってもらいやすく、打ち返しやすい返球をすることであり、勝敗ではなくリフティングとアシストの上手さを魅せることが良いのだそう。

奉納後には一般の方でも蹴鞠体験ができるそうなので、貴重な宮廷文化に触れてみるのもいいですね。

樹齢八百年の霊木の白い花が境内を彩る

4月中旬から5月下旬、植物が育む穀雨のころには樹齢八百年の霊木「小賀玉の木(オガタマノキ)」の花が境内を彩ります。

「小賀玉の木」は招霊(おぎたま)が、なまったものとも言われるところから、神社の境内によく植えられおり、果実の成り方が巫女舞に使用される鈴のモデルになったともされています。この時期に白い芳香のある花を咲かせ、秋には桃色の果実を落として鳥たちや多くの生物を育んでいます。

中国のオガタマノキとされる「含笑花(がんしゅうげ)」も本殿の左右に植えられています。

その名のとおり慎ましく微笑んでいるような花が咲いているので、バナナのような甘い香りに誘われてみてはいかがでしょうか。

清少納言も親しんだ、京都の名水

小賀玉の木のすぐ側に手水舎があり、昼夜問わず井戸からこんこんと湧き出る水は、「飛鳥井の井戸」とされます。

平安時代の歌人としても有名である清少納言は、『枕草子』のなかで九つの名水(井戸)をあげていますが、明確に現存するのは「飛鳥井の井戸」だけのよう。口を清めるとき、清少納言も楽しんだ水質の柔らかさを感じてみてください。

白峯神宮

住所/京都市上京区飛鳥井町261番地
参拝時間/8:00-16:30
拝観料/無料
アクセス/地下鉄 今出川駅より徒歩10分

白峯神宮の“よりみち”スポット/オルテンシア

イタリアの風を感じる、温かみのある店内

白峯神宮の御所を通り抜けて、「ミシュランガイド京都2023」でビブグルマンとして掲載された、神宮丸太町にあるオルテンシア(ortensia)へ。

店内に入ると、鮮やかなオレンジ色を基調とした壁の彩色と、煉瓦で組まれた天井のアーチに、まるでイタリアのトラットリアへ訪れたような感覚に。シェフである那須さんが得意とする、イタリアの郷土料理と魚介料理を楽しみに、地域の方も足繁く通われている名店です。

主役クラスの前菜に、唯一無二のスペシャリテまで

ランチコース2800円は、季節や日々の仕入れによって変わる前菜2種から。1皿ずつ盛り付けられた前菜は、それぞれがコースの主役を演じることが出来るようなクオリティの高さ。

今回は「生しらすのマリネ ブルスケッタ」と「ひらめのカルパッチョ」をいただきましたが、生しらすのねっとり感とブルスケッタの香ばしさ、ひらめのカルパッチョの旨味を引き立てる、フレッシュトマトとパプリカのソースに胸を打たれました。

パスタに続いて、追加料金でメインを選ぶこともできる。イタリアを南北に横断しながら、様々なトラットリアや星つきのレストランで修行された那須シェフが、オープンされた日から大切にされているメニュー「マタロッタ」は、ぜひ食べて欲しい1皿。

南イタリアのとある港町のレストランで修行していた際、オーナーシェフに頼み込んで教えてもらい、那須さんのスペシャリテとなったそう。白身魚をベースとした煮込み料理で、多様なハーブや野菜たちが、口に入れた瞬間に香りと旨味を醸し出し、優しい味わいの中にも香りの豊かさを感じられます。

オルテンシア/ortensia

住所/京都府京都市上京区河原町丸太町上ル出水町274
営業時間/ランチ12:00~14:00(LO)、ディナー18:00~21:00(LO)
定休日/水曜日
アクセス/京阪線「神宮丸太町駅」より徒歩5分、京都市バス「神宮丸太町」より徒歩2分

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連載「京都ノ彩リ、出逢ウ巡ル。」

京都を中⼼に広報・PRマーケターとして活躍する⻄井将哉さんが、⼆⼗四節気×⾊をテーマに神社仏閣や建築物など、京都のシンボルスポットを紹介する連載「京都ノ彩リ、出逢ウ巡ル。」。

古都京都は四季によって豊かな表情を持ち、その季節でしか楽しむことの出来ない景⾊や美⾷が盛り沢⼭。地域に根付いてきた歴史を感じながら、周辺をゆっくりお散歩してみませんか?

教えてくれたのは「西井将哉さん」

⻄井 将哉
TANK Inc. General Manager / PR ・ Creative Evangelist

⽴命館⼤学法学部を卒業後、⼤⼿ウエディング企業において、神社仏閣での伝統的婚礼プロデュースや、拝観促進の新規事業開発を担う。2019年、京都にある格式高い寺院での史上初となる、婚礼分野の事業企画•演出を成功させる。

その後、法曹業界での経営企画・広報を経てTANK Inc.にジョイン「伝統⽂化をより⾝近に。」を⼈⽣のテーマして、京都市京セラ美術館での商業的利⽤の環境整備や、歴史的建造物に関わるプロジェクト推進など、ユニークベニュー開発・利⽤促進の専⾨家として、多数の⾏政案件に携わる。

また母校における京都校友会常任幹事として、起業家と学生の"知の交流"が出来る機会を創出。得意とする新規事業立案やPRコンサルティングなどの専門分野を越えて、多方面に活躍の場を拡げ続ける。

【 Instagram 】Masaya Nishii
https://www.instagram.com/msn_ni3/

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※記事は2023年4月11日(火)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります