京都“立夏”ノ彩リ、出逢ウ巡ル。/梨木神社
花言葉は「愛の旅」。境内に広がる白雲木
萩の名所と知られる梨木神社ですが、実は初夏に見頃を迎える樹木「白雲木(はくうんぼく)」があることは広く知られていません。白雲木の特徴は白い小花が釣鐘状に連なって咲き、樹皮が灰白色であることです。開花すると、まるで白雲のように見立てられ、甘く優しい香りが境内を包み込みます。
その花言葉のひとつが“愛の旅”。古来日本は“雲出づる国”と喩えられ、出雲に集まった神様が、誰と誰を結びつけるか話し合いをされたことと、白雲のような白雲木の特徴が合わさり花言葉が生まれたのではないかと、伝承されています。
今では神社を訪れると、その姿を楽しむことができますが、かつては宮中でしか育てることが許されない“禁廷木”であったそうです。遮るものがない参道からの青空と、風に吹かれゆらゆらと咲く“白雲木”の様子は、まるで雲中の世界にいるようでした。
唯一現存する京都三名水、染井(そめい)の水
御神木のすぐ左手には、縣井(あがたい)、醒々井(さめがい)と共に、京都三名水と称される“染井(そめい)”の井戸があります。既に他の井戸は現存しておらず、唯一現在し枯れることなく沸きつづけている貴重な井戸になります。
この染井(そめい)という名称は、かつての宮中でこの水を使って染めものをすると、綺麗に染め上げることが出来たことが由来だそうです。また、柔らかい味わいから茶の湯の水としても愛用され、多くの茶人たちが好んで、この水を汲みにきたとされています。
染井の水に浸し浮かびあがった文字を読む“水みくじ”もあるので、愛にまつわる御神木や白雲木にかこまれながら、その行方を占ってみてはいかがでしょうか。
梨木神社の“よりみち”スポット/Coffee Base NASHINOKI
名水を味わう、唯一無二のコーヒースタンド
梨木神社で本殿を参拝し“愛”にまつわる境内を巡った後は、参道にある昨年8月に境内にオープンしたCoffee Base NASHINOKIへ。
神社で古くから茶室として使用されていた「春興殿」をリノベーションした店内。参拝される方に「名水・染井の水を楽しみながら、京都散策の疲れをとるためにゆっくりと休憩して欲しい」という、宮司の多田様の思いから生まれたのだそう。
神社の紋があしらわれた暖簾をくぐると、艶感のある黒を基調にしたカウンターがあらわれ、歴史ある木造建築との調和に心が浮き立ちます。
柔らかな名水の味わいを、コールドブリューで感じて
抽出する水だけでなく氷まで染井の水を使った、「コールドブリュー(水出しアイスコーヒー)と栗まんじゅうのセット」1030円。柔らかくもすっきりとしたコーヒーの味わいに、既にリピーターが続出しているとか。自家焙煎された新鮮なコーヒー豆は、中煎りや深煎りなどが楽しめ、季節や天気によって抽出方法を変えるなど、珈琲にかける“愛”を、しっかりと感じることができます。
カウンター横のスタンドでもいいのいですが、縁側や庭に設置された長椅子に腰をかけることもできます。
境内を包み込む白雲木の香りとともにコーヒーを味わう体験ができるので、お天気が良い日は縁側で過ごしてみてはいかがでしょう。
水、コーヒー、お菓子の三位一体に至福のひとときを
またCoffee Base NASHINOKIでは、店舗右側にある別室において「コーヒーコース」4000円(完全予約制)が提供されています。
水出し、ハンドドリップ、エスプレッソ、カフェラテ・・・と、同じ豆を使いながらも、様々な抽出方法によって変化するコーヒーの味わいと、季節のお菓子とのペアリングを堪能できるコース。1日3枠(1枠5名まで)限定ですので、楽しみに訪れてみるのもよさそうです。
Coffee Base NASHINOKI
住所/京都府京都市上京区染殿町680 梨木神社境内
営業時間/10:00~17:00
定休日/なし
アクセス/京阪電車 神宮丸太町駅より徒歩15分
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連載「京都ノ彩リ、出逢ウ巡ル。」
京都を中⼼に広報・PRマーケターとして活躍する⻄井将哉さんが、⼆⼗四節気×⾊をテーマに神社仏閣や建築物など、京都のシンボルスポットを紹介する連載「京都ノ彩リ、出逢ウ巡ル。」。
古都京都は四季によって豊かな表情を持ち、その季節でしか楽しむことの出来ない景⾊や美⾷が盛り沢⼭。地域に根付いてきた歴史を感じながら、周辺をゆっくりお散歩してみませんか?
教えてくれたのは「西井将哉さん」
⻄井 将哉
TANK Inc. General Manager / PR ・ Creative Evangelist
⽴命館⼤学法学部を卒業後、⼤⼿ウエディング企業において、神社仏閣での伝統的婚礼プロデュースや、拝観促進の新規事業開発を担う。2019年、京都にある格式高い寺院での史上初となる、婚礼分野の事業企画•演出を成功させる。
その後、法曹業界での経営企画・広報を経てTANK Inc.にジョイン「伝統⽂化をより⾝近に。」を⼈⽣のテーマして、京都市京セラ美術館での商業的利⽤の環境整備や、歴史的建造物に関わるプロジェクト推進など、ユニークベニュー開発・利⽤促進の専⾨家として、多数の⾏政案件に携わる。
また母校における京都校友会常任幹事として、起業家と学生の"知の交流"が出来る機会を創出。得意とする新規事業立案やPRコンサルティングなどの専門分野を越えて、多方面に活躍の場を拡げ続ける。
【 Instagram 】Masaya Nishii
https://www.instagram.com/msn_ni3/
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