くすみの正体と治し方とは。美容皮膚科医に聞いた顔のくすみケア

くすみの正体と治し方とは。美容皮膚科医に聞いた顔のくすみケア

顔がくすんでいると、不健康に見えたり実年齢より老けてしまったりするもの。また、夕方になるにつれて肌の血色が悪くなっていくお悩みも多い。表参道で美容皮膚科「ティーアイクリニック」を開院している医師の田原一郎先生に、くすみの正体やケア方法について教えてもらった。

更新日:2023/08/28

肌のくすみについて

肌のくすみとは?

顔のくすみとは、肌全体のトーンが下がって黄色みがかかっている状態のこと。放置しておくと悪くなる一方なので、原因を理解したうえできちんとケアをする必要がある。

また、夕方に鏡を見ると肌がくすんでいると感じるのは、肌自体がくすんでいるのではなく“くすんで見えている”という状態なだけ。原因は、乾燥や血行不良の場合が多いけれど、化粧崩れや汚れという可能性も。

くすみの原因

■常に肌がくすんでいる場合
一時的なものではなく、いつでも肌が黄色や褐色を帯びて暗くなっているなら、皮膚科学的に見てもくすみの状態。これにはすべて肌の酸化と糖化が関わっているそう。
糖化は、くすみの特に大きな原因といわれ、食事などから摂った余分な糖質が体内のたんぱく質と結合すると、細胞が劣化し黄色や褐色になっていく。また、紫外線を受けると肌細胞が酸化しくすみを引き起こす。女性の場合、妊娠や生理などでホルモンバランスが乱れて肌の炎症が起きると、肌の酸化と糖化が進むこともわかっている。

糖化や酸化はくすみだけでなく、シミやたるみなど、肌の老化全般につながるので日常的に気を付けたいもの。酸化と糖化はセットで進行し蓄積され、自然に改善することはないので、肌のくすみを治したい人は皮膚科医で治療を受けよう。

■一時的に肌がくすんで見える場合
肌がくすんで見える原因は、いくつか考えられる。夕方のくすみが気になっている人は、まずは洗顔の前後で肌の違いをチェックしてみよう。メイク崩れや皮脂汚れなどが関係なさそうであれば、次に疑うべきは乾燥と血行不良。肌が乾燥すると刺激から守るためのバリア機能が低下。その機能を補おうとして角質が厚くなるため、肌がくすんで見えてしまう。また、血行不良が起きると顔色全体がトーンダウンして暗く見えることも。

肌のくすみの対策・ケア・治療法

光フェイシャルを受ける

肌に特殊な光を当てることで、細胞を修復する光フェイシャル。酸化や糖化による細胞の劣化に効果てきめんで、くすみは肌全体に起きるため、広範囲に当てられる光フェイシャルがおすすめ。また、シミやニキビ跡、毛穴などさまざまなトラブルに同時にアプローチできるから、「くすみの原因がわからない」「くすみ以外でも悩んでいる」といった人もトライする価値がある。

ケミカルピーリングを受ける

ケミカルピーリングは、肌の角層を溶かして古い角質を除去し、ターンオーバー(肌の新陳代謝)を促すケア方法。酸化・糖化に関わらず、肌表面をキレイにしてトーンアップできる。やりすぎると、必要な角質まで除去して肌を傷つけてしまうため注意が必要。効果や安全性が信頼できるクリニックなどで受けるようにしよう。

セルフケアで保湿&血行不良にアプローチする

肌をトーンアップするには、日々のスキンケアも大切。しっかりと保湿して肌に潤いとツヤを保てば、光の反射効果もあり肌はブライトアップ。さらにツボ押しやリンパマッサージなどを追加すると血行もよくなるのでおすすめ。また、毛穴汚れや産毛があるのとないのとでは当然顔のトーンは変わってくる。定期的なスペシャルケアも取り入れてみて。

フェイシャルエステを受ける

フェイシャルエステにはさまざまなメニューがあるけれど、乾燥や血行不良によって肌がくすんで見える状態に効果がある。例えば、オールハンドのフェイシャルトリートメントなら肌の血行をよくすることで肌が明るくなったり、毛穴洗浄やゴマージュであれば、毛穴汚れや古い角質をオフすることでむき卵のような肌をめざすことが可能。

美容点滴を受ける

美容点滴は、血管を通して直接栄養成分を取り込むことができる美容ケア。ビタミンCやビタミンB、プラセンタ、にんにく注射などさまざまな美容点滴がある。なかでも高濃度ビタミンCは抗酸化作用が科学的に実証されていることもあり人気。くすみや肌荒れのお悩みだけでなく、日焼けや深酒、肉体疲労の後のリカバリーとして利用する人も。

イオン導入を受ける

肌に微弱な電流を当て、イオンのプラスマイナスを利用して美容成分を肌の奥の角質層まで浸透させるのがイオン導入。使用する美容成分はサロンやクリニック、またはメニューによってもさまざまなので、目的や肌質に合ったものを選ぶことが大切。肌のトーンアップにはビタミンC誘導体やトラネキサム酸が含まれたものを使用することが多い。

肌のくすみの予防

紫外線ケア・UV対策を徹底する

くすみを予防するには、肌細胞の酸化と糖化を阻止することが肝心。紫外線が当たると活性酸素が増えて酸化が進み、肌自体の透明感がなくなる。そのうえさらに、肌の酸化だけでなく糖化も同時に進行させてしまうので、UV対策は特に重要。紫外線予防効果のあるコスメを使用するのはもちろんのこと、定期的に塗りなおすこともお忘れなく。

美容液をスキンケアに取り入れる

肌質に合った保湿効果の高い美容液や、美白美容液を使用することで肌をトーンアップさせることが可能。また、美容液で治療をすることはできないけれど、これからの酸化・糖化を予防する効果は十分に見込める。ビタミンC誘導体やアスタキサンチンなどの抗酸化成分が配合された美容液は、ドラッグストアなどでも手に入りやすいのでチェックしてみて。

筋トレをする

糖質をいちばん消費するのは、骨格筋=自分で動かす筋肉を使うこと。しっかりと筋肉を動かし、体内の余分な糖質を代謝すれば、肌の糖化を予防することができる。

ただし、そもそも筋肉が足りていないと十分に糖質を代謝できず糖化が進んでしまうので、筋肉量が少ない人はまずはベースづくりからがんばろう。筋肉は、何もしなければ1年に1%ずつ落ちていくといわれている。若いうちからしっかり筋肉を動かして、筋肉の貯金をして。

肌のくすみにまつわるQ&A

くすみはセルフケアで治せますか?

くすみの原因は肌全体の酸化が原因。皮膚科医での治療の後、抗酸化物質を摂るなどして再発のスピードを遅らせることは可能です。

目もとだけくすみを感じます。ケア方法はありますか?

目もとには紫外線が当たりやすく、酸化も糖化も進みやすいのでどうしてもくすみやすくなります。紫外線対策しっかりしましょう。

お話をお伺いしたのは、医師 田原一郎さん

日本医科大学医学部卒業後、日本医科大学付属病院、都内総合病院、都内美容クリニックなどを経て、2012年に「ティーアイ表参道クリニック」を開院、現在に至る。2014年からミスユニバース日本大会審査員、ミスユニバース日本大会ビューティキャンプ公式講師。一般内科や外科的な知識、全身管理の考えのもと安全性を第一に考えた美容医療と医療に取り組んでいる。

WRITING/ATSUKO HABU、ILLUSTRATION/HARUKA OSHIMA

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※記事は2023年8月28日(月)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります

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