シャワーだけの入浴は健康効果なし!?専門医が教える正しい入浴法とは
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シャワーだけの入浴は健康効果なし!?専門医が教える正しい入浴法とは

更新日:2020/12/16

この時期になると恋しくなるのが、ポカポカと温かいお風呂。近年はお風呂の健康効果が医学的にも解明されつつあり、日本人が健康で長寿なのはお風呂好きなことも一因だと考えられているのだとか。そこで温泉療法専門医の早坂信哉さんに、医学的に健康効果が認められているお風呂の入り方について教えてもらおう。

ほぼシャワーだけの人が約2割。お風呂につからない理由とは?
アンケート:2020/11/2~11/10 オズモール調べ 1047人

ほぼシャワーだけの人が約2割。お風呂につからない理由とは?

寒い季節は、お風呂の時間が至極のひとときとなるもの。ところがオズモールのアンケートでお風呂につかる頻度を聞いたところ、「ほぼ毎日」が53.2%と半数以上だった一方、約2割が「月に数回しかお風呂につからない」か「まったくお風呂につからない」と回答。冬でもお風呂につからず、シャワーだけですませることが多いという人も一定数いるみたい。

お風呂につからない、もしくは月に数回しかお風呂につからないという人の理由を聞くと、「時間がないし、掃除が増える」(kanaさん/26歳・会社員)という意見や「早く寝たいから」(ゆうちゃんさん/40歳・会社員)など、時間的な理由を挙げる人が多かった。また、「お風呂につかるとのぼせてしまう」(ありーさん/45歳・会社員)といった体質的な理由や、「保温機能がないためお湯をためてもすぐに冷めてしまうから」(あーちゃんさん/29歳・会社員)、「追い焚き機能がないため、毎日お湯を変えると水道代やガス代がかかる」(けいさん/30歳・会社員)など、お風呂の機能を理由に挙げる人も。

早坂さんによれば、お風呂につかるとさまざまな効果が得られることが医学的に明らかとなっているのだそう。その主なものは、免疫機能の低下を防ぐ、自律神経の調整、血流の改善、基礎代謝や体内酵素の活性化、精神的ストレスの軽減など。お風呂に入る時間が限られていても、こうしたお風呂の効果はできる限り得たいところ。

シャワーだけになるときは足浴をプラスして

シャワーだけになるときは足浴をプラスして

「お風呂につからなくても、シャワーでもそれなりに体は温まるのでは?」と思う人もいるかも。ところがお風呂には、シャワーではほとんど得られない次の7つの健康効果があるのだとか。

・体を温めて血流を高める
・水圧の力で血流を高める
・水の浮力で関節や筋肉の緊張がゆるみリラックスできる
・毛穴が開き汚れや皮脂がしっかり取れる
・蒸気が鼻やのどの粘膜を湿らせて免疫力の低下を防ぐ
・水中でゆっくり体を動かすことで筋肉や関節の運動効果が得られる
・裸でお風呂につかることにより、日常からの開放感が得られる

「この7つの健康効果のうち、シャワーで得られるのは『毛穴が開き汚れや皮脂がしっかり取れる』のみで、それも入浴に比べると効果の低いものです。健康効果を最大限に得ていただくためにも、ぜひお風呂につかってほしいですね」(早坂さん)

とはいえ、どうしても時間がない、疲れていて面倒・・・というときは、シャワーですませたくなるもの。そんなときはシャワーに足湯をプラスするのがおすすめなのだと、早坂さん。

「髪を洗うときに椅子に座り、洗面器に43℃の熱めのお湯を入れて足をつけておきましょう。さらにそのお湯に炭酸系の入浴剤を入れると、全身の血行が促進されて疲れが取れやすくなります。手間も時間もかからない方法なので、シャワーだけですませたいときはぜひ実践してみてください」(早坂さん)

1日の疲れをしっかり取り除く入浴法とは?

1日の疲れをしっかり取り除く入浴法とは?

きちんとお風呂につかっているのになかなか疲れが取れない場合は、お湯の温度やつかる時間、お風呂に入るタイミングなどを見直してみるといいかも。そこで、1日の疲れをしっかり取る入浴法について、早坂さんに教えてもらおう。

・40℃のお湯に10~15分つかる
42℃以上の熱いお風呂に入ると自律神経が交感神経優位(興奮モード)になり、リラックスしにくい状態に。お湯の温度は自律神経を副交感神経優位(リラックスモード)にする40℃に設定しよう。ぬるく感じても、10~15分つかれば十分に体が温まって血流もよくなるはず。ぬるさが気になる場合は、41℃までは湯温を上げても大丈夫。汗が出るほどの長風呂は、脱水症状やのぼせなどの原因となるので、気をつけて。

・半身浴より全身浴を
医学的に見ると、半身浴は全身浴に比べて健康効果が低下するのだそう。疲れをしっかり取りたいなら、全身浴で体のすみずみまで温めて血流を促すことが大切。ただし、のぼせやすい人や長時間ゆっくりお風呂につかりたい人、全身浴だと息苦しく感じる人などは、半身浴での入浴が適する場合も。

・硫酸ナトリウムを含む入浴剤がおすすめ
硫酸ナトリウムには血流促進と疲労物質(筋肉などにたまった老廃物)を取り除く効果があるため、疲労回復が期待できるそう。そのほか、泡が出る炭酸系の入浴剤も血行促進効果が。

・入浴後1~2時間以内にベッドに入る
お風呂で体が温まると、その後に手足から熱が放出され、約1時間半後には体温が下がって眠くなる。そのため、入浴後1~2時間以内にベッドに入るようにすると、質のいい睡眠が得やすく、疲労回復につながるはず。

こうした入浴法は医学的な研究にもとづいたもので、実践すれば効果的な予防医学となるのだそう。ぜひ取り入れてみて。

教えてくれた人

早坂信哉さん

温泉療法専門医、博士(医学)、東京都市大学人間科学部教授。一般財団法人日本健康開発財団温泉医科学研究所所長、一般社団法人日本銭湯文化協会理事、日本入浴協会理事。生活習慣としての入浴を医学的に研究する第一人者。メディア出演も多数。 著書に『最高の入浴法』(大和書房)、『たった1℃が体を変える ほんとうに健康になる入浴法』(KADOKAWA)、『入浴検定 公式テキストお風呂の「正しい入り方」』(日本入浴協会/共著)がある。

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WRITING/TOMOKO OTSUBO

※記事は2020年12月16日(水)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります