髪がパサつく人は、数カ月から1年前くらいの食生活を振り返って
パサついた髪の毛は、清潔感に影響を及ぼしたり、老けて見えたりすることに。空気が乾燥していれば、髪の毛に含まれている水分も抜けやすく、パサつく原因になる。
「ヘアオイルやトリートメントのケアによって表面的にはツヤを出せますが、乾燥しにくい健康的な髪質にするには、髪の構造から変える必要があります。つまり、すぐに結果が出るわけではありません」(慶田さん)
「健康的な髪の毛には海藻を食べるといい」というイメージをもたれがちだけど、実は髪の約9割を占めるのは、ケラチン(たんぱく質)。つまり、たんぱく質が不足した食生活を送ると、健康な髪の毛は生えてこないというわけ。髪の毛は、一定の周期で生え変わっているので、毛先がパサつく場合、ロングヘアの人であれば、1年くらい前の食生活が影響している可能性があるのだそう。まずはたんぱく質をしっかりとることが、ツヤのある健康的な髪の毛を作り出すために、大切なこと。
さらにこれからは紫外線量が多くなっていく時季。紫外線を浴びると髪の表面にあるキューティクルが傷んで、髪のツヤを左右する脂質が失われやすくなる。帽子をかぶる、日焼け止めスプレーをかけるなど、髪の毛の紫外線対策も意識して。
また、ドライヤーを使うと、髪の乾燥が気になる人もいるのでは?
「髪を濡れた状態にしておくと、表面にあるキューティクルがはがれやすくなり、髪がパサつく原因になります。温風と冷風を交互にするなど乾燥対策をしながら、ドライヤーで素早く乾かすのがおすすめです」(慶田さん)
乾燥or皮脂?フケの原因を見分ける方法は?
健康的な髪の毛を作り出すためには、頭皮が健康であることも重要。空気が乾燥する時季は、肌と同じように頭皮も乾燥しやすくなる。
「頭皮はもともと皮脂の分泌が多いので、顔のように保湿ケアは本来必要ないのですが、乾燥肌の人は頭皮も乾燥しやすい傾向があります」(慶田さん)
頭皮が乾燥していると、フケやかゆみなどの症状に悩まされることも。フケは、皮脂が過剰に分泌した脂漏性皮膚炎が原因になることもあるけれど・・・。
「乾燥によるフケの場合は細かくてカサカサしたような形状で、脂漏性皮膚炎による場合は、大きめでベタベタしています。顔の肌をチェックしたときに毛穴が目立ちにくい人は乾燥性、毛穴が目立ちやすい人は、脂漏性皮膚炎の可能性が高いといえます」(慶田さん)
脂漏性皮膚炎の場合は、もともと皮膚に存在している常在菌の1つであるマラセチア(真菌)が増えて炎症を起こしていることが原因に。マラセチアを抑える成分を配合したシャンプーを使用すると改善が期待できる。
頭皮が乾燥する人におすすめの対策とは?
一方、頭皮の乾燥が原因の場合は、シャンプーの洗い方や選び方を見直して。頭皮は顔の肌に比べて、ごしごしと力を入れて洗いがち。すると頭皮が傷ついて、バリア機能が低下することに。顔を洗うときと同じように、やさしく洗うことがポイントになる。
「洗顔料をよく泡立ててから使用するように、シャンプーもよく泡立ててから、泡で汚れを包み込むようにして洗いましょう。頭皮の皮脂量に応じたシャンプー選びも大切です。乾燥する人は、石けん系のシャンプーなど、洗浄力が弱く、肌にやさしいものを選んで」(慶田さん)
こうした対策をしても乾燥が気になる場合は、シャンプーを使用する頻度を減らすのがおすすめだそう。
「シャンプーを使用する主な目的は、余計な皮脂を洗い流すこと。皮脂の分泌が少ない人にとっては、洗浄力が強すぎて必要な皮脂まで洗い流している可能性があります。毎日シャンプーを使用している人は、1日おきにしてみてください」(慶田さん)
汗やほこりはお湯だけで落とせるので、シャンプーを使用しない日はお湯だけの〝湯シャン″を。パサつきが気になる場合は、毛先だけトリートメントを使用して。整髪料を使用していてお湯だけで流すとベタつきが気になる場合は、頭皮につかないように髪の毛だけにシャンプーを使用するのがいいそう。
「ただし、ほとんどの人は頭皮の皮脂量が多く、余計な皮脂が残ると、酸化皮脂となり、頭皮の刺激やニオイの原因になります。湯シャンして髪を乾かしたあとに、後頭部にニオイが残っていないかどうか、チェックするといいでしょう」(慶田さん)
髪や頭皮の乾燥が気になる人は、食生活やケア方法を見直して、ツヤのある髪&健康な頭皮をめざそう!
教えてくれた人
慶田朋子さん
銀座ケイスキンクリニック院長。医学博士。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。日本レーザー医学会レーザー専門医。東京女子医科大学病院皮膚科、聖母病院皮膚科、などで勤務したのち、2011年に現クリニック開設。最新の医療機器と注入治療をオーダーメイドで組み合わせ、「切らないハッピーリバースエイジング」を叶える美容皮膚科医として多くの患者から厚い信頼を得ている。皮膚の働きや美肌に役立つスキンケア、生活習慣などのわかりやすい解説が好評。著書に『365日のスキンケア』(池田書店)、『女医が教える、やってはいけない美容法33』(小学館)など。
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WRITING/AKIKO NAKADERA