運動不足によって、将来の骨粗しょう症リスクが高まる!
家にこもりがちで運動不足になると、筋力が衰えることはよく知られているけれど、それは骨も同じ。
「一般的に女性の骨密度のピークは20~44歳まで、と言われています。その後閉経に伴って骨密度は低下していきます。30歳前後であっても運動不足が長期化すると、骨への刺激が弱まり、骨密度のピーク時の値が下がる可能性があるのです。すると、閉経後に同じスピードで骨密度が低下したとしても、比較的早く骨粗しょう症のレベルにまで達してしまう恐れがあります」
そう話すのは、骨粗しょう症に詳しい医師の中山久德さん。骨粗しょう症とは、骨の量が減り、質も落ちて骨の強度が低下して、骨折しやすくなる病気のこと。女性ホルモンの減少と関わりが深いため、圧倒的に女性に多い。
1日30秒程度のなわとびが効果的
骨は「重力の負荷をかける」「振動を与える」という2つの刺激によって、丈夫になる性質があるそう。
「骨の健康に最も有効なのは、ジャンプをすること。一般的に骨を丈夫にするといわれている運動が、1日30回程度の『かかと落とし』。つま先立ちでかかとを上げてから、ドスンと床に落とす運動です。体力に自信があり、家の前などでできる状況であれば、効率的なのが、なわとびです。毎日30秒(60回)程度おこなうだけで効果があります。ときにはつま先ではなく、かかとで着地すると、効果がアップします」(中山さん)
なわとびやかかと落としをする際には、ひざを伸ばし、かかとから頭までが一直線になるようにして。
カルシウムだけではない!骨を丈夫にする栄養素
骨を丈夫にするためには、食事面のアプローチも大切。骨の材料となる栄養素といえば、カルシウムだけど、それだけでは不十分なのだそう。
「カルシウムを効率的に体内に吸収するためには、カルシウムの吸収を助ける『ビタミンD』やカルシウムのイオン化を促進して吸収しやすくする『クエン酸』や『酢酸」と一緒にとる必要があります。また、たんぱく質も重要です。骨はよく鉄筋コンクリートの建物に例えられますが、コンクリートがカルシウムなら、鉄筋に相当するのがたんぱく質の1つであるコラーゲン。たんぱく質をしっかりとることは、骨を動かす筋肉を作るのにも大切ですが、骨にとっても欠かせないのです」(中山さん)
カルシウムが豊富な牛乳、小魚、海藻、緑黄色野菜、豆腐や納豆などの豆製品とともに、たんぱく質やビタミンDが豊富なキノコ類、クエン酸が豊富なレモンを食べることを意識して。
そこで試してみたいのが、カルシウムとクエン酸が同時に取れる簡単な「レモンラッシー」。
●レモンラッシー
<材料:1人分>
牛乳:150ml
レモン果汁:大さじ2
はちみつ:大さじ1
<作り方>
グラスにすべての材料を入れ、よく混ぜ合わせる。お好みで氷を浮かべる。
※はちみつが含まれるので、1歳未満の幼児には与えないでください。
できるだけ長く骨量を維持するためにも、運動と食事の両面から“骨活”を実践しよう。
教えてくれた人
中山久德さん
そしがや大蔵クリニック院長。日本骨粗鬆症学会認定医。日本リウマチ学会専門医、指導医。山形大学医学部卒業後、東京大学医学部アレルギーリウマチ内科に入局。2012年開院。リウマチ内科医として、関節リウマチ、膠原病、骨粗しょう症の診療に従事。テレビや雑誌などでも活躍している。
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WRITING/AKIKO NAKADERA