ルドンー秘密の花園 眼をとじて、グラン・ブーケ(大きな花束)
美術展ニュース

幻想的で特異な画風を持つルドンの、“植物”を描いた作品に焦点を当てた世界初の展覧会

更新日:2018/01/29

印象派の画家たちと同世代ながら、幻想的な内面世界に目を向けた独特の画風で、今も世界の美術ファンを魅了している画家・ルドン。その初期の作品から晩年に至るまで、さまざまに表現の方法を変えながらも、植物のモチーフを一貫して描いていたという。そこで、彼の描いた“植物”に焦点をあてた世界でも前例のない展覧会を開催。ルドンの描く花を集めた「秘密の花園」とは?

左:《眼をとじて》1900年以降 油彩/カンヴァス 岐阜県美術館蔵 右:《グラン・ブーケ(大きな花束)》1901年 パステル/カンヴァス 三菱一号館美術館蔵

『夢想(わが友アルマン・クラヴォーの思い出に)』VI. 日の光、『起源』II. おそらく花の中に最初の視覚が試みられた
左:《『夢想(わが友アルマン・クラヴォーの思い出に)』VI. 日の光》1891年 リトグラフ/紙(シーヌ・アプリケ)三菱一号館美術館蔵 右:《『起源』II. おそらく花の中に最初の視覚が試みられた》1883年 リトグラフ/紙(シーヌ・アプリケ)岐阜県美術館蔵

世界各地の主要美術館から約90点が集結!交流で影響を受けた作品も

2018年2月8日(木)から5月20日(日)まで、丸の内の三菱一号館美術館では「ルドンー秘密の花園」展を開催する。今回は、世界有数のルドンコレクションを持つ岐阜県美術館をはじめ、フランスのオルセー美術館やニューヨーク近代美術館MoMAなど、世界各地の主要美術館から植物をモチーフに描かれたルドン作品が約90点も集結し、大規模なルドン展に。

オディロン・ルドン(1840~1916)は、若い頃、放浪の版画家に銅版画の技法を学んだことからエッチングや版画の作品も残していて、後にこれらの白黒作品を愛着を込めて「わたしの『黒』」と呼んでいる。さらに、20歳の頃に出会った植物学者アルマン・クラヴォーからは同時代の文学や哲学などの知識を得て、内面世界にも関心を持つようになったそう。ルドンの「黒」の作品を見ると、彼らとの出会いがルドンの画風に大きな影響を与えたことが分かる。

ルドンー秘密の花園 花と蝶
左:《神秘的な対話》1896年頃 油彩/カンヴァス 岐阜県美術館蔵 右:《蝶》1910年頃 油彩/カンヴァス ニューヨーク近代美術館(MoMA)蔵 The Museum of Modern Art, New York. Gift of The Ian Woodner Family Collection, 2000 (C)2017 Digital image, The Museum of Modern Art, New York/ Scala, Florence

「黒」から色彩豊かな画家への移行。植物への愛着や遊び心も面白い

ルドンは「黒」の画家として認知されていったけれど、一方で1879年に初の版画集『夢の中で』を出版したのを機に、油彩の小品も制作していた。1894年に出品点数140点を超える最初の大きな個展を開催した時、油彩やパステル画など19点を発表。その後はだんだんと「黒」の作品が姿を消すものの、植物のモチーフは変わらず描いていたという。例えばトップ画像(左)の《眼をとじて》は1900年以降に制作されたもので、花が散りばめられた華やかな油彩の作品。

写真左の《神秘的な対話》は聖母マリアの訪問という伝統的なキリスト教の図を下敷きにしたもので、ルドンはこの絵に描かれた花々について「一つの植物相を示す」と記していて、単なる装飾を超えた植物への愛着が感じられる。また、右の《蝶》では、蝶と蛾にまぎれて白い花が描かれているものの、一見しただけでは蝶か花かわからないだまし絵のような効果も。こうした、鑑賞者が自由に解釈できる部分があるのもおもしろい。

ルドンー秘密の花園 食堂装飾
[ドムシー男爵の城館の食堂壁画15枚のうち] 上段左から《黄色い背景の樹》/《人物》2/《人物(黄色い花)》/《黄色い背景の樹》 下段左から《花のフリーズ(赤いひな菊)》/《花と実のフリーズ》
以上すべて、1900-1901年 木炭、油彩、デトランプ/カンヴァス オルセー美術館蔵  Photo(C)RMN-Grand Palais (musée d'Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF

最大級のパステル画など貴族の城館を彩った食堂装飾壁画も見どころ

今回のもうひとつの見どころは、メイン画像(右)の《グラン・ブーケ》とともに、ロベール・ド・ドムシー男爵の城館を飾ったオルセー美術館所蔵の15点の作品が揃うということ。

男爵は、1893年に城の壮麗な大食堂の壁面全体を装飾する絵を、ルドンに依頼。1年以上の製作期間を経て、16点の作品が設置されたそう。パステルで描かれた作品としては異例の大きさとなる《グラン・ブーケ》をはじめ、ドムシー男爵の食堂装飾は、装飾芸術の分野でも注目すべきスポットに。その食堂を飾った絵が揃うので、こちらのコーナーでは男爵家のディナーに招かれた気分で眺めてみるのもいいかも。

ルドンー秘密の花園 装飾 衝立
ロラン・ルスタン(ルドンの下絵に基づく)《衝立》1908-1910年(タピスリー)1921年(木部分) ゴブラン織(ウール、絹)/シカモア モビリエ・ナショナル蔵 Mobilier national, Paris

このほかにも、60歳を過ぎてから屏風や衝立(ついたて)など室内装飾の仕事を請け負っており、今回の展覧会でも作品が見られる。写真は、ルドンの下絵をもとに作られたゴブラン織りの衝立で、上品で清楚な華やかさにあふれた上質のインテリアを思わせる。

独特の作風を持つ孤高の画家というイメージの強いルドンだけど、色彩や表現方法などでさまざまな試行錯誤を行っていても、植物に向けた愛情のあるまなざしは変わらない。そんな画家の一面を思いながら、ルドンの描く「秘密の花園」を散策してみたい。

「ルドンー秘密の花園」展の無料観覧券を5組10名様にプレゼント

【応募方法】
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【応募期間】
2018年1月29日(月)10:00~2018年2月5日(月)09:59まで
※上記期間以降の応募に関しましては抽選の対象外となります。
※当選の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。

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プレゼントにご応募される前に、下記【プレゼント応募条件】【当選者への通知・お願いについて】をよくお読みいただき、同意のうえ、ご応募いただきますようお願い申し上げます。

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「ルドンー秘密の花園」展 ポスター

「ルドン―秘密の花園」展

イベント名
「ルドンー秘密の花園」展
開催場所
三菱一号館美術館
開催日程
2018年2月8日(木)~5月20日(日)
開催時間
10: 00~18: 00(祝日を除く金曜、第2水曜、会期最終週平日は21:00まで) ※入館は閉館の30分前まで
休館日
月曜日(ただし、祝日の場合、5月14日とトークフリーデーの2月26日、3月26日は開館)
観覧料(前売)
一般1700円(1500円)、高校・大学1000円、小・中学生500円 ※会期中はチケットぴあでペア券3000円(切り離し無効)を販売
ホームページ
「ルドンー秘密の花園」展 HP
三菱一号館美術館 外観

三菱一号館美術館

電話番号
0357778600 0357778600 (ハローダイヤル)
住所
東京都千代田区丸の内2-6-2 Map
交通アクセス
東京メトロ千代田線「二重橋前駅」1番出口より徒歩3分、都営三田線「日比谷駅」B7出口より徒歩3分、JR「東京駅」丸の内南口より徒歩5分 ほか

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※記事は2018年1月29日(月)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります