【人気の化粧水OEMメーカーおすすめ11選】化粧品開発のコンサルタントに聞いた選び方も

OEMメーカーとは、化粧水や乳液といったスキンケア用品などの委託製造を行う会社のこと。通常、化粧水の製造や販売をする際には行政の許可が必要になるため、自社製造が難しい場合はOEMが望ましい。OEMを検討する中で、どこにすればいいか悩んでいる人も多いはず。そこで、今回は化粧水製造におすすめのOEMメーカー11社を紹介。メーカーの選び方や費用の目安も詳しく解説するので、希望に合ったOEMメーカーを選ぼう。

更新日:2022/12/26

お話を聞いたのは・・・

化粧品開発コンサルタント 赤星恵美子さん

化粧品業界歴20年。大手化粧品メーカー、オーガニック化粧品メーカーで企画・開発等様々な職種を経験。現在はELATE COSME WORKS代表として、企業向け化粧品開発のサポートや、美容メディアの記事監修、化粧品の成分解析などを行っている。

1.化粧水の製造にはOEMと自社生産どちらがいい?

オリジナルの化粧水を製造する際は、自社で作るかOEMメーカーに依頼するかの2択がスタンダード。しかし、はじめてオリジナルの化粧水を作成する場合には、どちらを選ぶべきか悩んでいる人も多いのでは? ここではまず、OEMメーカーに委託するメリットとデメリットを解説。メリットとデメリットを比較し、希望にあった方法を選択しよう。

1-1.OEMで化粧水を製造するメリット

化粧水製造をOEMメーカーに委託する主なメリットは以下の通り。

・コストを削減できること
・ニーズに合わせた製造がかなうこと
・販売業務へ専念できること。

自社の販売戦略とメリットの内容が合うかどうか確認してみて。

コストを抑えられる

商品を製造する際は、「製造業」の許可が必要。しかし、この許可を得るためには、薬機法(旧薬事法)に則り、工場の床や天井の素材、密閉性、換気性などの基準をクリアしなければならない。設備の導入、技術者の人員確保などの初期費用として大きな金額が必要になり、経済的な負担がかかる。また、維持費や固定費といったランニングコストも発生するため、予算が足りず、思うような販売戦略が取れなくなるケースも少なくない。

一方、OEMメーカーに依頼すれば、これらの初期費用の削減が可能に。浮いた資金は事業拡大や新たな商品開発などに投資できる。

ニーズに合わせて製造できる

OEMメーカーによって得意とするジャンルや専門分野が異なるが、目的に合ったメーカーを選択すれば、より希望に即した商品を開発できる可能性が高まる。

また、小ロットでの製造も可能なので、顧客ニーズを見ながらの販売が可能。はじめは商品数を少なく製造し、需要の増加に合わせて製造数を増やせば在庫リスクも削減できる。

ただし、小ロットの場合1個当たりの仕入単価が上がる点には注意が必要。現実的な数値で言えば、1000~3000個程度が経済的。ある程度自由にロット数を設定できるメーカーを探せば、予算とコストのバランスも調整できる。

製造業務以外に専念できる

オリジナルの化粧水を販売する際は、企画やマーケティング、販売や売上分析など製造以外にもさまざまな業務が発生するもの。製造に時間やコスト、人員をかけることでその他の業務がおろそかになってしまうことも。

一方、OEMメーカーに製造を委託すれば、本来製造のためにかかる労務がなくなるため他の業務に注力できる。マーケティングや販売に専念すれば顧客満足度も上がるはず。また、OEMメーカーの持つ知識や技術を利用できるため、自社で製造するよりもクオリティを高められる可能性がある。

1-2.OEMで化粧水を製造するデメリット

化粧水の製造をOEMメーカーに依頼する主なデメリットは、委託コストと技術の流出リスク。メリットとデメリットを比較し、OEMメーカーへの依頼が適切かどうか、今一度考えてみよう。

委託コストがかかる

設備の投入や人員確保といった初期費用は削減できるものの、委託には費用が発生するため商品開発と製造にかかる費用をゼロにすることはできない。

また、委託費用には製造費に手数料が入っているため、自社で製造した場合と比較すると収益性は下がる。長期的に製造や販売を見込める商品には適さない可能性も考慮しよう。

技術の流出リスクがある

製造を委託するにあたり、新商品の企画や開発技術、販売戦略などが流出するリスクがある。ノウハウを蓄積したOEMメーカーが独自商品を開発したり、同じ分野の他企業に技術提供をしたりすれば、競合商品が出現する恐れも。

ただし、契約時には技術流出に関する誓約を結ぶケースがほとんどで、今のところOEM業界で技術の流出は問題になっていない。心配が大きい場合は、すでに技術を獲得している大手のOEMメーカーや、独自技術を採用している先進的なメーカーを選ぼう。

2.化粧水OEMメーカーの選び方

化粧水の製造を委託できるOEMメーカーを選ぶ際は、得意分野、ロット数、サポート範囲に注目。希望がかなうメーカーがあるか、各社の特徴を比較しながら探してみよう。

2-1.得意分野から選ぶ

化粧水の委託製造を請け負っているOEMメーカーは複数あるが、メーカーごとに得意不得意な分野がさまざま。たとえば、化粧水や乳液、美容液といった基本のメニューに特化しているメーカーもあれば、パックやクレンジングまで幅広く対応しているメーカーもある。開発したいと考えている商品を得意としているメーカーを探そう。

なお、メーカーの特徴を詳しく知りたいときはホームページの情報では足りないと感じることも。電話して問い合わせしたり展示会に行ったりして、情報を集めよう。展示会は事前に招待状を請求するだけで、これまでに特別な関わりがなかった人も気軽に参加できる。

2-2.ロット数から選ぶ

ロット数もメーカー選びの際に確認しておきたいポイント。製造費用を抑えたいと考えている場合は、欠かせないチェックポイントと言える。小ロットに対応できるメーカーはあまり多くない。

また小ロットでの対応に関して、中身はOKでも容器は不可としているメーカーもある。OEMメーカーを選ぶ際は、どの商品なら小ロットで製造できるのか、どこまで希望に対応してもらえるのかも併せて確認しよう。

なお、容器を持ち込むことで小ロットに対応してもらえるケースも。印刷は1000個、容器に着色する場合は3000個が目安。容器によっては中身との相性が悪い可能性もあるため、どの容器であれば使用できるかメーカーに問い合わせしながら用意しよう。

2-3.サポート範囲から選ぶ

化粧水や化粧品などを製造する際は、法律や規則に関する知識が必要不可欠。たとえば、パッケージに記載できる内容や禁止されている表現、デザインのルールなどにも細かな規定がある。初めて化粧水を製造する場合は知識に乏しい可能性があるため、しっかりとサポートしてくれるメーカーが望ましい。

また、化粧水は顧客の肌に直接つけるものなので、場合によってはトラブルが発生する恐れもある。品質管理体制が整っており、万が一の際の対応も可能なメーカーを選ぶと安心。2、3社程度並行して相談しながら相性のよいメーカーを見つけよう。

監修者のアドバイス

ELATE COSME WORKS代表 化粧品開発コンサルタント 赤星恵美子さん

化粧品の中身は小ロットで対応できても、容器が小ロットに対応できないメーカーも多いです。容器のロットに合わせて発注するか、自身で容器を持ち込んで製造してもらうのがベターと言えます。OEMメーカーと容器メーカーが繋がっている場合もあるが、気に入るデザインがなければ自分で探してくるのがよいでしょう。ただし、容器によっては化粧品が液漏れしたり、変質する場合があるので、事前にOEMメーカーにチェックしてもらう必要があります。

3.人気のおすすめ化粧水OEMメーカー11選

ここでは、化粧水のOEMメーカー11社をご紹介。知名度の高いメーカーを紹介するので、化粧水の製造を検討している人はぜひチェックしてみて。

株式会社セントラル・コーポレーション

100個からの小ロットに対応可能。初期費用や在庫リスクを軽減できる

1980年創立。40年以上の長い歴史を持つOEMメーカー。エイジング肌向けの化粧品やスキンケア商品からエステティック業務用製品やヘアケア商品まで、幅広い分野に対応している。

100個からの小ロットでも製造できるので、数量限定商品の製造にもうってつけ。ロット数を少なくすれば初期費用を抑えられるだけでなく、在庫リスクも軽減できる。製造原価は希望小売価格の20%以内に設定されているから、100個のうち20個売れれば損をすることもない。

また、専門のアドバイザーが在籍しているのも魅力のひとつ。40年間で3万件以上もの相談件数を誇る戦略設計のプロに、商品の製造に関するアドバイスを求められる。相談にかかる料金は無料なので、サポート体制を重視する企業におすすめ。

コスメシューティカル株式会社

「ヒト幹細胞培養液」の専門メーカー。自社ブランドのアップグレードに好適

日本で唯一「ヒト幹細胞培養液」を専門とするOEMメーカー。9つの「ヒト幹細胞培養液」を製造しており、希少性の高いスキンケア商品の開発が可能。「結果の見える化粧水」をモットーに、顧客満足度の向上に努めている。

また、クリエイティブチームによるトータルサポートも付帯。企画提案から設計、開発、生産に至るまで専門家のコンサルティングを受けられる。初めて商品を製造する場合や、注目の美容成分を使用した最先端スキンケア商品の製造をめざす企業にぴったり。

最小500~1000個の小ロットにも対応しているから、スキンケアビジネスに新規参入する際や在庫リスクを減らしたいときにも嬉しい。

株式会社美粧ケミカル

スキンケア商品をメインに、幅広い分野の商品に対応。100年を超える実績が強みのOEMメーカー

創業100年を超える長い歴史と豊富なノウハウが魅力のOEMメーカー。年間の試作数は1000件以上。独自性の高い商品の研究や開発力で理想の商品づくりをサポートする。

自社工場を保有し、研究部門や検査部門、製造部門と連携しながら生産。商品開発、製造中の疑問や悩みもスムーズに解決できる。

コミュニケーションを重ねながら、しっかりと要望を聞き出してくれるので、自信を持って販売できる商品を作りたいと考えている企業におすすめ。

株式会社ミリオナ化粧品

百万年品質を約束するOEMメーカー。国内外に複数の工場があるから地方企業にぴったり

創業から25年の歴史を持ち、百万年先も愛される企業をめざすOEMメーカー。国内外に複数の支社と工場があるから、地方企業でも利用しやすい。

基礎化粧品やメイクアップ化粧品だけでなく、入浴剤や除毛クリーム、ヘアケアなど幅広いジャンルに対応。また、研究や企画や製造、生産、品質管理はもちろん、営業やデザイン室も保有。化粧水の商品開発に関する知識や経験が少ない企業でも依頼しやすい。

ロットは500本から製造可能。輸出手続きの代行や英語対応もしているから、海外展開を視野に入れている企業にとっても心強い。

株式会社ボナンザ

数々のヒット商品を生み出しているノエビアグループ。オンリーワンの商品開発をサポート

株式会社ボナンザは、これまでに複数の人気商品を送り出しているノエビアグループのOEMメーカー。

クレンジングや乳液、クリームなどに必要不可欠な乳化技術(水と油を混ぜる技術)が得意。とくに、スキンケアアイテムの使い心地を追求したい企業はチェック必至といえる。

商品製造だけでなく、販売促進策の提案や市場トレンドの提供、売上分析などのトータルサポートも実施。豊富な経験とノウハウを活かし、オンリーワンの商品開発をサポートする。

ホシケミカルズ株式会社

提案力、開発力、対応力が強み。他者と差別化できる商品開発にぴったり

ホシケミカルズ株式会社は、企画やマーケティングから販売支援までをトータル的にサポートするOEMメーカー。

疑問や困りごとが発生した際にも迅速なサポートがかなう秘密は、選任のサポートスタッフが在籍しているから。クレーム対応や新商品の提案など、細やかなアフターフォローを受けられる。

取引実績は700社、処方実績は1万件以上。医薬部外品を含むスキンケアやボディケアアイテムはもちろん、健康食品なども製造可能。他社との差別化を狙った商品開発にぴったり。

ビプランツ株式会社

顧客ニーズやターゲット層の分析に長けたOEMメーカー。売れる商品の開発が可能

売れる商品の開発に力を入れているOEMメーカー。自社販売のノウハウを活かし、顧客ニーズやターゲット層の情報分析をしながら商品を製造するから、顧客の共感を得られる商品開発がかなう。

基礎化粧品の試作品提供までは最短1週間で、本製品でも最短3週間で製造できる。商品化を急ぎたいときや、販売開始時期が迫っているときでも安心。

また、商品ボトルやラベルを設計する社内デザイナーも在籍。プロの力を借りて、商品イメージやコンセプトにしっかりとマッチしたデザインを作成できる。独自ルートで資材を調達しており、高品質なエアレス容器も小ロットで発注可能。

株式会社セレス

1953年創業の豊富な実績を持つ老舗メーカー。各種薬事対応フォローのサポートも

1953年に京都で創業した総合受託メーカー。これまでに数千品目の開発と製造を担ってきた豊富な経験とノウハウが強み。

新規原料の取り組みも活発で、国内外の新規原料を積極的に採用。とくに、独自原料の純金イオン水は、化粧品原料としてだけでなく飲料としても使用できる。ISO‐22716を取得した万全の管理体制だから、品質管理にこだわりたい企業に好適。

また、薬機法に基づく広告表現の指導や、パッケージデザインの開発も可能。専門知識を持つスタッフに、薬事申請の代行やマニュアル作成をお任せできる。

株式会社コスメプロ

自然素材を活かした商品開発、製造に特化。多品種小ロットにも対応可能

スキンケアをメインに、日焼け止めやベビーパウダー、マッサージソルトなど幅広いジャンルに対応しているOEMメーカー。

自然素材を活かした商品開発が魅力で、ハーブや漢方粉末を100%使用した入浴剤やカチオンフリーのコンディショナー、アミノ酸洗浄成分をメインに使用したシャンプーなどを製造している。

多品種の小ロットも製造可能。ロット数や原材料に関してもフレキシブルに対応しているから、ひとひねり効かせた商品の開発を視野に入れている企業は要チェック。

株式会社コスメテックジャパン

海外規制を考慮した商品の製造もサポート。海外へのビジネス展開を検討する企業に好適

創業130年以上の豊富な実績を持つ老舗メーカー。1913年に開設し、研究所として日本最古の歴史を誇る。これまでに培ったノウハウと顧客からの信頼を武器に、ブランディングからデザイン提案、販売員教育までトータルサポートを行う。

化粧水にとっていちばん大切ともいえる「水」にこだわり、清流、吉井川のほとりに工場を設立。環境庁認定の「全国の名水100選」にも選ばれた名水を使用するほどの徹底した品質管理は、国内外の顧客から高い評価を獲得している。

また、海外対応に力を入れているのも特徴の一つ。海外規制を考慮した処方と製造や、輸出にかかる申請手続きの代行を依頼できる。英語や中国語が堪能な国際スタッフも在籍しており、海外進出をめざす企業におすすめ。

株式会社DDS

マイクロカプセル技術を得意とするOEMメーカー。最新テクノロジーを駆使した最先端商品の開発が可能

創業以来30年間、健康食品や化粧品の開発に注力。新技術や新原料を積極的に採用することで、日本で初めての完全防腐剤無添加のフリーズドライ美容液の開発に成功している。

マイクロプセル技術を得意としており、パックや美容液といったスペシャルケア商品の開発と製造に特化。最先端テクノロジーを駆使した革新的商品開発をめざせる。

美容液は無菌室で管理されている特殊な機械を使用し、窒素ガス充填によるフリーズドライ加工も可能。業界最高レベルのクリーンルームを保有しているから、品質管理にとことんこだわって製造できる。

4.化粧水OEMにかかる費用

化粧水の製造にあたりOEMメーカーに発注する場合、どのような費用が発生するのか気になっている方は多いはず。費用の内訳とロットごとの費用感を紹介するので、参考にしてみて。

4-1.費用の内訳

化粧水製造をOEMメーカーに委託する際に発生する費用は、主に以下の6つに分類できる。

・試作
・バルク(中身)の製造
・容器
・デザイン
・包装
・輸送など

とくにバルク(中身)は商品のなかでもっとも重要な部分。具体的な費用は、使用する成分やバルクの剤型などによって異なる。

試作品にかかる費用はOEMメーカーが負担することが多いが、試作回数が多かったり後から注文を増やしたりした場合は、追加費用を求められる可能性も。

容器や包装資材は種類が豊富で、肉厚のガラス素材や特殊加工の箱などを使用すれば費用が上がる。商品のイメージやターゲット層をしっかりと分析し、顧客ニーズに合ったものを選択することが大切。輸送費用は見積内容に含まれていることが多い。

また、デザインは持ち込みか、メーカーにデザインしてもらうのかによって費用が変わる。持ち込みのケースがもっとも費用を抑えられるが、デザインの開発、決定に時間と手間がかかるのがデメリット。デザイナーに依頼する場合は、イメージに合ったデザインを簡単に入手できる一方、デザイン料が発生することも多い。事前に具体的な費用を確認しておこう。

4-2.ロットごとの費用感

1個あたりの製造原価は、おおよそロット500個で1000円前後、1000個で700円前後、3000個で500円前後が相場観になってくる。品目や容器、容量、処方によって変わるので、あくまで目安程度に考えて。

品目や容器、容量、仕様など条件によって具体的な費用は変わる。実際のところ、OEMメーカー側も金額については公表していない。

上記の金額はあくまで目安なので、実際に支払うことになる金額やコストパフォーマンスについては商品の詳細が決まってから自身で計算しよう。どうしても先に知りたいときは企画、開発の段階でメーカーに相談してみて。

監修者のアドバイス

ELATE COSME WORKS代表化粧品開発コンサルタント 赤星恵美子さん

化粧品の中身(バルク)は配合する成分によって幅があり、美容効果の高い原料や天然原料、香料は材料費が非常に高くなります。配分が少ない美容成分などは多少値段が上がる程度ですが、オーガニック化粧品のような天然原料をふんだんに使用するものだと大幅に値段が上がってしまうので要注意です。訴求ポイントに合わせた成分のみを配合することによって、バランスの取れたバルクが製造できます。

5.化粧水商品化までの流れ

化粧水の商品化をめざしたいけど、どんな流れで化粧水商品化を進めればいい? そんな悩みを持つ人のために、OEMの専門家監修の商品化の流れを解説。今回紹介する化粧水商品化の流れは、次の7つのステップ。

1.製品企画書の決定
2.試作品の製作
3.安定性試験の実施
4.製品仕様の決定
5.見積もり/契約
6.薬機法の確認
7.製造/納品

それぞれのステップごとに、化粧水商品化の流れの詳細をチェックしてみて。

1. 製品企画書の決定

オリジナル化粧水を作る際は、製品企画書の作成とOEMメーカーとの打ち合わせから開始。話し合いを重ねながら、商品イメージを具体化していこう。製品企画書に書いておきたい項目は以下の通り。

・商品イメージ
・商品名
・商品コンセプト
・ターゲット層
・訴求内容
・販売価格
・発売時期
・販売戦略など

「どの商品がターゲット層に合っているかわからない」「含有成分の違いを知りたい」など、商品作成前に気になることがあれば、OEMメーカーに質問しよう。また、打ち合わせが終わったら、製造の見積もりを出してもらうことも忘れずに。

2. 試作品の製作

製造する商品イメージが完成し企画の大筋がまとまったら、試作品の製作を依頼しよう。本製品の製造中に変更があると納期の遅れやコストの増額といった事態が発生する恐れがあるため、試作品の段階でしっかりと希望を伝えることが大切。同じ商品を数パターン作ってもらうことで、使用感や香り、効果などを比較しやすくなる。

試作品の製作にかかる期間は、2週間~1カ月程度。2~3回ほど試作を繰り返しながら、少しずつ理想の商品イメージに近付けていこう。

3. 安定性試験の実施

安定性試験とは、一定期間における商品の保存状態や物質変化などを観察、調査すること。薬機法では、最適な条件下で未開封の商品が3年間で変質を起こしてしまう場合に、製造年月日や使用期限を表示する必要があると定められている。

オリジナル商品の開発時は、安定性試験が必要不可欠。調査は長期間に及ぶため、販売までのスケジュールにゆとりを持って企画、開発を進めよう。

4. 製品仕様の決定

安定性試験が完了したら、本製品の商品化に向けてより綿密な計画を立てていく。容器の種類やデザイン、箱の質感など、販売を想定しながら製品仕様を決定しよう。

ただし、場合によっては希望通りにならないことも。ブランディングやターゲット層と予算、ロット数などを比較し、何度も打ち合わせを重ねて納得できるポイントを見つけよう。資材や原料の発注、成分分析のスケジュールについてもこの時点で確認を。

5. 見積もり/契約

商品を製造する前に見積もりを依頼する。ロット数によって価格が変わるため、いくつかのパターンで見積もりを出してもらうとよい。販売価格と予算、想定される売上金額などを照らし合わせれば、もっとも利益を見込めるロット数を割り出せる。

見積内容をチェックしてロット数を決めたら、商品製造に向けて契約、支払いを済ませよう。支払いは前払いが多いため、あらかじめ費用を用意しておく必要がある。納品までの日数も併せて確認し、商品化への準備を進めていく。

6.薬機法の確認

薬機法とは、医薬品や医薬部外品、化粧品などの製造や販売、流通に関する法律のこと。化粧水を製造、販売する際はパッケージやラベルに記載される内容に、薬機法違反がないよう努めなければならない。効能効果や成分表現について、過度な表現をしたり効果を断定したりと不適切な表記をしてしまうと、薬機法に触れる恐れがある。

薬機法に違反すると、売上の4.5%にあたる金額の追徴課税があるため注意が必要。自社に薬機法に詳しい人がいない場合は、薬機法に関するサポートのあるメーカーを利用するのが望ましい。

7.製造/納品

商品の製造が完了すると自社に納品される。納品先は1カ所しか選択できない場合もあるため、複数個所への納品を希望する場合はあらかじめ相談しておこう。納品された商品に問題がなければ取引完了。

OEMメーカーによっては、販売員教育や販売戦略のアドバイスなどを行っているケースも。アフタフォローのサービスが付帯されている場合は、必要に応じて利用してみて。

6.読者の疑問を解決!化粧水OEMに関するQ&A

ELATE COSME WORKS代表・赤星恵美子さんが、化粧水OEMについての疑問にお答え。

化粧水をOEMで製造すると品質は下がるの?

OEMで製造することで品質が下がることはありません。ただし、メーカーごとの得意分野と苦手分野に関する確認は必須です。

メーカーによっては独自成分を保有していたり特殊技術を確立していたりすることもあるため、自社の希望や商品イメージによってはプラスの影響を享受できる可能性があります。OEMメーカーの強みを活かして商品作りに取り組みましょう。

化粧水を製造するのに認可は必要?

化粧品や化粧水といった商品の製造時は、「製造販売業」や「製造業」の許可が必要です。「製造販売業」は自社で企画した商品を国内製造工場で製造し、自社の名前で販売する場合に必要な許可のことです。「製造業」は、化粧品や化粧水などを製造、または輸入して販売する場合に必要となります。

「製造販売業」を取得しているOEMメーカーに委託する場合は、特別な許可を取る必要はありません。ただしこの場合、商品の裏面に委託先OEMメーカーの社名を記入することが定められています。

初心者でもOEMメーカーに取り合ってもらえる?

OEMメーカーに製造を依頼する際は、特別な条件は決められていません。初心者でも製造の依頼はできます。ただし、OEMメーカーは複数の企業から委託を受けているため、現実的な企画でないと判断されれば優先順位が低くなる可能性もあります。商品開発の状況や具体的な商品イメージ、経営戦略などを明確にしてから相談に行きましょう。

この記事に登場した監修者

ELATE COSME WORKS代表 化粧品開発コンサルタント 赤星恵美子さん

株式会社カネボウ化粧品に6年勤務し、結婚後にポーラ化成工業株式会社に転職。2社では、主に医薬部外品の主剤分析、クレーム品や製造トラブルに関わる調査分析業務に携わる。

その後、アロマ・オーガニックコスメのOEM製造会社にて新規化粧品事業の立ち上げに携わり、化粧品製造販売業許可、化粧品製造業許可を5カ月で取得。自社ブランドおよび企業向けの商品開発、コンサルティング営業、製造オペレーション構築、オーガニックコスメの処方開発に携わる。

実績として、有名アパレルブランドのノベルティコスメや、ヘアケア製品、アロマ製品、スキンケアブランド、メンズコスメなど多数。コンセプトに沿って洗練されたパッケージデザインにも気を配っている。

今回の記事では、化粧水OEMメーカーの選び方からOEM業界の事情まで、幅広く監修。OEM業界に携わってきた経験から、化粧品開発にまつわる基礎知識をわかりやすく伝えている。

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※記事は2022年12月26日(月)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります

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