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パリ・オランジュリー美術館の名品がずらり!横浜美術館で「ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」

更新日:2019/07/29

横浜美術館では開館30周年を記念して、2019年9月21日(土)から2020年1月13日(月・祝)まで、「オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」を開催。珠玉のコレクションを一望できるのは、日本では21年ぶりとか。ルノワールの代表作《ピアノを弾く少女たち》をはじめ、マティス、ピカソ、モディリアーニらの名作が揃ったヨーロッパ屈指のコレクションを堪能して。

オランジュリー美術館 ルノワールとパリに恋した12人の画家たち モディリアーニ+ローランサン
左/アメデオ・モディリアーニ《新しき水先案内人ポール・ギヨームの肖像》1915 年、油彩・厚紙を貼った合板、105×75cm Photo (C)RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF 右/マリー・ローランサン《ポール・ギヨーム夫人の肖像》1924-28 年頃、油彩・カンヴァス、92×73cm Photo (C)RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF

所蔵品の核となるコレクションの背景に画商の夢と妻の物語

オランジュリー美術館所蔵品の核となっている「ジャン・ヴァルテル&ポール・ギヨーム コレクション」は、ヨーロッパの中で最も質の高い印象派とエコール・ド・パリ(20世紀前半の前衛的な芸術運動)の作品群のひとつ。

画商ポール・ギヨームは、若い才能が集まる20世紀初頭のパリで画商として活躍する一方、自らもコレクターとして作品を収集。人気画家の作品だけでなく、当時はまだ評価されなかった画家たちも積極的に支援したという。例えば、モディリアーニの才能を高く評価したギヨームは、彼にアトリエも提供したそう。

自身のコレクションで邸宅美術館を作りたかったギヨームは42歳の若さで亡くなり、コレクションは妻のドメニカが引き継ぐ。その後、彼女は有名な建築家のジャン・ヴァルテルと再婚。最終的に2人の名前を冠することを条件にコレクションはフランス国家に買い上げられ、オランジュリー美術館で常設展示されることに。

今回は、そんな数奇な運命をたどった所蔵品146点のうち、13人の画家による約70点が展示される。背景にあるストーリーを知って鑑賞すると、作品がよりドラマティックに感じられるかも。

オランジュリー美術館 ルノワールとパリに恋した12人の画家たち《ピアノを弾く少女たち》
オーギュスト・ルノワール《ピアノを弾く少女たち》1892 年頃、油彩・カンヴァス、116×81cm Photo (C)RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Franck Raux / distributed by AMF

ルノワールをはじめモネやセザンヌなど印象派の名品が充実

19世紀後半から急速に近代化が進んだパリでは、新しい芸術運動が生まれる。それまでアトリエの中で描かれていた絵画が、戸外にカンヴァスを持ち出して、刻々と変化する光の美しさを素早く捉える「印象派」からは、多くの名作が誕生した。

印象派を代表する画家の一人、オーギュスト・ルノワールは、同じく印象派の中心的な存在だったクロード・モネとともに、筆触分割(パレットの上で絵の具を混ぜないで、色をそのままカンヴァスに載せて色彩を作りだす画法)を使って、外の光を捉える表現を追求し、数々の名品を完成させている。

ルノワールの代表作のひとつである《ピアノを弾く少女たち》は、晩年まで彼のアトリエで大切に保管されていたものを、ルノワールの没後にギヨームが収集したものだそう。

印象派では、パリ郊外の穏やかな自然を描いたアルフレッド・シスレーの風景画や、印象派展にも参加した“近代絵画の父”ポール・セザンヌなどの作品も展示される。

オランジュリー美術館 ルノワールとパリに恋した12人の画家たち《アルルカンとピエロ》
アンドレ・ドラン《アルルカンとピエロ》1924 年頃、油彩・カンヴァス、175×175cm Photo (C)RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF

野獣派では信頼の絆で結ばれたドランや、マティスの作品も

原色を使って強い筆のタッチを際立たせるフォーヴィスム(野獣派)の作品も多い。その代表的な画家として活躍したアンドレ・ドランは、1923年にギヨームがドランの画商となってから亡くなるまで、強い信頼関係で結ばれていたそう。

《アルルカンとピエロ》はギヨームが発注した作品で、完成後は自宅の壁にずっと掛けられていただけでなく、ドランが描いたドメニカ夫人の肖像画の背景にも描かれているほど。ギヨームはもちろん、画家にとってもお気に入りの作品だったことが分かる。

フォーヴィスムを主導した画家アンリ・マティスの作品や、同じく旗振り役となってリードした画家キース・ヴァン・ドンゲンの描いたギヨームの肖像なども展示。ヴァン・ドンゲンは、パリ・モンマルトルのアトリエ「洗濯船」でパブロ・ピカソらと交友を深めていたそうで、コレクションにはピカソの作品も入っている。

オランジュリー美術館 ルノワールとパリに恋した12人の画家たち ユトリロ《サン=ピエール教会》
モーリス・ユトリロ《サン=ピエール教会》1914 年、油彩・厚紙、76×105cm Photo (C)RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF

パリの風景や人々を愛したエコール・ド・パリの画家たち

第一次大戦後、芸術の中心だったパリには多くの外国人芸術家が集まり、パリの街並みやそこで生きる人々の姿を個性豊かに描いて、「エコール・ド・パリ」と呼ばれた。

例えば、リトアニア育ちのシャイム・スーティンはモンパルナスのアトリエに暮らし、パリで働く人々を好んで描いた画家。また、パリ出身のモーリス・ユトリロは身近なパリの風景を感情豊かに描いて、エコール・ド・パリの画家に名前を連ねている。同じくパリ出身のマリー・ローランサンもエコール・ド・パリの画家として、ギヨーム夫人のドメニカの肖像なども描いている。

このほか、独自の様式でパリの風景や人々を描いた「素朴派」のアンリ・ルソーなども交え、フランスの近代美術が最も輝いていた時代の、13人の画家たちの作品を展示。パリに恋した画家たちと、彼らを評価した画商の絆を感じ取って。

オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した12人の画家たち ポスター

イベントDATA

イベント名
横浜美術館開館30周年記念 オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した12人の画家たち
開催場所
横浜美術館
会期
2019/9/21(土)〜2020/1/13(月・祝)
開館時間
10:00〜18:00
※会期中の金曜・土曜は20:00まで開館(ただし、9/27〜28、1/10〜12は21:00まで)
※入館は閉館の30分前まで
休館日
毎週木曜日(12/26は開館)、2019/12/28(土)~2020/1/2(木)
入館料(前売)
一般1700円(1500円)、大学・高校生1200円(1000円)、中学生700円(500円)
電話番号
03-5777-8600 ハローダイヤル
ホームページ
オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した12人の画家たち 公式ホームページ

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※記事は2019年7月29日(月)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります