横浜ナポリタン3選

横浜に来たらナポリタンを食べなくちゃ!先代の味を受け継ぐ、ナポリタンが美味しいお店3選

更新日:2019/03/12

横浜で生まれたナポリタン。その人気は今も健在で、理想のナポリタンを提供する新店や、2代、3代と味を受け継ぐ店、ナポリタンの魅力を広める学会まで、この街の多くの人々がナポリタンに静かな情熱と愛情を持っていました。今回は、オズマガジン横浜号でナポリタン特集を担当する編集部Sが、店主の思いや歴史と一緒に食べてほしいとっておきのナポリタンのなかから、先代の味を受け継ぐ3つのお店を紹介します。

次世代に伝え続けたい大切な「横浜の財産」

ホテルニューグランド「ザ・カフェ」のナポリタン

ホテルニューグランド「ザ・カフェ」(元町・中華街)

発祥のナポリタンを提供するホテルニューグランド。1927年開業と、横浜で最も長い歴史を持つホテルで、ドリアやプリン アラ モードもここで生まれた。「現在のナポリタンは、戦後、2代目料理長の入江茂忠が完成させたと聞いています。そのときからトマトソースの味は変わっていません。とはいえ、レシピは残っていないのでシェフの舌が頼り。トマトの糖度が上がるなど、時代とともに素材の味わいが変わるので、その点はシェフの腕の見せどころです。記憶の味をたどりながら、昔の味を伝承しています」と、5代目料理長・宇佐神茂さん。

圧倒的な知名度を誇る一方で、若い人の中には、まだまだナポリタンがニューグランド生まれということを知らない人も少なくないのだそう。「最近は広報の努力もあって、SNSでここを知って足を運んでくれる若者が増えました。その中には、『これが発祥ナポリタン!?』と驚かれる方も多いです。ナポリタンと言えば、昔の喫茶店ブームで広がったケチャップベースのイメージが強いのだと思います。そのギャップも含めて伝統の味を楽しんでもらいたいですね」とレストラン部次長の兼子幸雄さんはにこやかに話す。

レストラン部次長・兼子幸雄さん、5代目料理長・宇佐神茂さん、広報・横山ひとみさん

ホテルニューグランドにとってナポリタンはどんな存在なのか。広報の横山ひとみさんに尋ねてみる。「次世代に継承していくべき大切なもののひとつだと思っています。横浜は新しいものを積極的に取り入れてきた街ですが、一方で、変わらない美しさもあります。例えば、この山下町エリアの空気感。このホテルの建物も、ナポリタンも同じ。変わらず守り続けたいもののひとつです」

ニューグランドの、そして横浜の財産でもある日本初のナポリタンは、味を受け継ぐ料理人、温かな笑顔でもてなしてくれるホテルマン、伝統や価値を次世代へ伝えていく広報など、たくさんの人々の努力によって今日も守り、受け継がれている。

ホテルニューグランド「ザ・カフェ」

営業時間:10:00~21:30(21:00LO)
定休日:なし
住所:横浜市中区山下町10 ホテルニューグランド本館1F
アクセス:みなとみらい線「元町・中華街駅」よりすぐ

決してブレることのない元祖ケチャップナポリタン

米国風洋食 センターグリルのナポリタン

米国風洋食 センターグリル(野毛)

ナポリタンには、主にトマトペーストを使ったものとケチャップを使ったものがあるが、なにを隠そうこちらはケチャップナポリタンの元祖。ナポリタンの発祥であるニューグランドの初代総料理長、サリー・ワイルが経営していたセンターホテルで腕を磨いた石橋豊吉さんが独立し、1946年に開業した。当時、生トマトは希少な高級品。その代わりにケチャップを使ったそう。

「先代の頃からこのお店のコンセプトは“安くて栄養のあるおいしいものを、たくさんの人に気軽に食べてもらおう”。そこからブレることはないね。昔からナポリタンの素材も製法も変わらないのはそのため。スパゲッティがパスタと呼ばれるようになった頃、細麺ブームが来た。そんなにおいしいならと、厨房で試してみたけど、うちのケチャップソースには合わなくてね。やっぱり太麺がおいしい。おいしいものを作るだけだよ」と2代目の石橋秀樹さん。

「元祖ケチャップナポリタン」という、はた目には重そうな看板だが、当の石橋さんはさらりとこう話す。「うちのメニューは50種類あって、ナポリタンは数あるメニューのうちのひとつ。サリー・ワイルさんから伝承したチキンピラフやドリアも人気だし、どれも妥協のない自信作」。

2代目店主・石橋秀樹さん、3代目店主・石橋正樹さん

約1年前に大幅に店内をリニューアルし増床したが、創業当時のコンセプト通り、メニューは値上げすることもなく、ボリュームもそのまま。営業時間もアイドルタイムを設けることなく通し営業のスタイルを貫いている。

野毛で営業し続けて70年以上。街も時代もずいぶんと変わった。その中で、昔と変わらぬ味と素材で営業を続けるセンターグリル。「ずっと同じ味を守り続けていくには、昨日やったことを今日やるだけ。進歩はないかもしれないけど、それが長く続けていくということ」。そんな2代目店主の気負わない姿は3代目に引き継がれてもきっと変わらない。70年以上にわたって愛され続けるセンターグリルの味は、ぶれないお店の姿そのものだった。

米国風洋食 センターグリル

営業時間:11:00~21:00
定休日:月(祝の場合営業)
住所:横浜市中区花咲町1-9
アクセス:JR線、横浜市営地下鉄線「桜木町駅」より徒歩5分

脈々と受け継がれる独創的な魚介ナポリタン

イタリーノのナポリタン

イタリーノ(関内)

昭和の雰囲気漂う赤と白のストライプのファサードが印象的なこちらは、ナポリタン好きから一目置かれる老舗洋食店。1972年に菊地尚志さんが開業し、2017年に息子の武志さんにお店が引き継がれた。

看板メニューは、エビとあさりが入ったナポリタン。「メニューのベースは、かつて私が勤めていた長者町の洋食店・イタリアンキッチンのもので、ソースが命。ケチャップと自家製トマトペースト、ピューレを同率で配合し、煮詰めています。正直、手間がかかって大変なんだけど、味に深みが出るから創業以来ずっとこの製法を変えることなく作り続けています」と尚志さん。

2代目店主・菊地武志さん、初代店主・菊地尚志さん

「手間がかかる」というイタリーノの味を、2代目・武志さんは父の姿を見て覚えたという。「小さい頃から周りにお店を継ぐんだよね?と言われていたし、ずっと父の背中を見てきた。正直、みんなが愛してくれるナポリタンの味を受け継がないと、などと気負っているわけではなくて、この道しか知らないだけ」と武志さん。

お互いに言葉は少ないけど、父の味をしっかりと受け継ぐ武志さんが作るナポリタンを食べると、そこには確かに人々を魅了し続けるイタリーノの味が残っていて、静かな親子の絆を感じた。

イタリーノ

営業時間:12:00~14:30 17:00~21:30、土15:30~22:00
定休日:日
住所:横浜市中区福富町仲通3-4
アクセス:関内駅より徒歩6分

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【特集】春の横浜おでかけ案内2019

非日常を感じる抜群のロケーションにおいしいグルメ、異国情緒を感じるレトロなスポット・・・。誕生日や記念日のお祝いも、アフターファイブも、休日も、大好きな横浜で。彼、女友達、お母さん、子ども・・・大切な人を連れていきたい街。それでいて、ひとりでリフレッシュするのにもぴったり。みんなの好きな横浜を知れば、新しい魅力が見つかるはず。みんなの好きな横浜を集めました。次の休日は、横浜へ出かけよう。

※オズマガジン2019年3月12日発行号を一部転載
PHOTO/清永洋、森本絢 WRITING/田賀井リエ

※記事は2019年3月12日(火)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります