関東 日帰り 出会い旅 Vol.017 /野菜と大地に触れる旅(埼玉県比企郡小川町)【後編】

関東 日帰り 出会い旅

【毎週土曜 6:00 更新】
東京から90分以内の日帰り圏内。その円を広げてみると、そこにはとても豊かな自然や、新鮮な景色が広がっています。身近なようでまだ知らない「関東の田舎」で、地元を愛するみなさんと触れ合いながらの、楽しい週末旅はいかが? オーガニックビジネスプランナーの八田さと子さんに案内頂く小川町の旅は、有機野菜の貸し農園を後にして、小川町駅からも歩いて行ける地域密着型のごはん屋さんへ。

更新日:2016/11/19

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■出向いた町/埼玉県比企郡小川町

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池袋駅から東武東上線に乗って70分。埼玉県の西側に位置する小川町は、周囲を緑豊かな外秩父の山々に囲まれ、古くから小川和紙や小川絹、酒造などの伝統産業で栄えた町。最近では登山客やサイクリング客も多く、また、有機農業が大変さかんなことでも知られている。

■会いに行った人/八田 さと子(はった さとこ)さん

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茨城県出身。女子栄養大学卒業後、有機農産物の流通会社に勤務。国際青年環境NGO A SEEDJAPANにて事務局長を務めた後、2008年よりオーガニックビジネスプランナーとして活動を開始。有機農業のご縁で小川町に移住して7年目。夫/子どもと半農半xの暮らしを模索中。Xは地域コーディネート、プランニング。小川町を拠点に埼玉西部エリアで食・農・環境・女性・起業をテーマに活動中。小川町移住サポートセンタースタッフ、女子栄養大学非常勤講師。

小川町のおいしさを堪能できる『有機野菜食堂わらしべ』

磯木:連れて行ってもらった『貸し農園しもざと桜ファーム』、空が開けていて、めちゃくちゃ気持ちよかったです。体を動かしたあとって、みなさんおなかが空くと思うんですけど、小川町だとどんなところに食べに行くんですか?(おなかが空きました…)

さと子さん:そうですね。やっぱり野菜がおいしくて、しっかり食べられるお店ですね。小川町に来た方に、わたしもよくご紹介する素敵なお店『有機野菜食堂わらしべ』も人気ですよ。行ってみます?

磯木:行きましょうー!

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趣のある建物を改装した店舗。

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店内にはカウンター席とテーブル席があって意外と広い。





磯木:ここはどんなお店なんですか?

さと子さん:近隣の有機農家さんの野菜や食材を使ったオーガニックレストランで、天然酵母のパンも作っています。あと、小川町にはクラフトビール工房『麦雑穀工房マイクロブルワリー』があるのですが、そこのビールも飲めるのでまずはぜひ。

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クラフトビール好きには有名な、『麦雑穀工房マイクロブルワリー』のビール。

磯木:昼間からビール、たまりませんね。フルーティーでスッキリと軽い飲み口がいいですね。

さと子さん:原料の麦は小川町産を使うこともありますし、製造も小川町。小川町自慢のビールなんです。

磯木:以前ぼくも参加したことがありますけど、小川町ではビールづくりも楽しめるんですよね。

さと子さん:そう、『はじめる自給!地ビールチャレンジ』ですね。今年も随時募集する予定ですよ。

磯木:麦まきして、芽が出たら麦踏みもしたりね。やっぱり自分でやってみるのって楽しい。あ、ランチが来ました。おいしそう。いただきまーす!

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前菜とパンがセットになったパスタセット。4種類の中から、クリームソースパスタをチョイス。

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本日のデザート盛り合わせ。カボチャパイ、ずんだパンナコッタ、大学イモの3点セット。

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メニューにも、「小川町産」の文字が並ぶ。

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お店の裏にはハーブがたくさん。ぶどう棚までありました。

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お店のこと、小川町のことを気さくに教えてくれた山下さんご夫妻。

なんと、野菜も肉もお酒もすべてが地元産!

磯木:ごちそうさまでした!デザートまですっかりおいしくいただきました。『わらしべ』さんはいつから小川町で営業されてるんですか?

山下嘉彦さん:今年で12年目になりますね。

磯木:食材はすべて地元産?

山下さん:そうです。使っている野菜はすべて地元の有機野菜100%です。それを理想に掲げてお店を始めたので。

磯木:じゃあさっきぼくが食べたランチもデザートもすべて?

山下さん:はい。野菜だけでなく、お肉もすぐ近所のお肉屋さんの手作りのソーセージやベーコンを使わせてもらっていますし、日本酒もビールもワインもほぼ全部地元のものを揃えてます。

磯木:すごい・・・。ここは食べ物に関してすべて手に入ると言ってもいいですね。山下さんはもともと小川町が地元なんですか?

山下さん:いいえ、以前は北海道で9年くらい新規就農で有機農家をやっていたんですよ。でも、なかなかうまくいかなくて(笑)。それで、北海道で当時パン屋をしていた妻と出会って、有機野菜を使って料理のほうで一緒になにかできないかと思って場所を探して、たどり着いたのが小川町だったってわけです。はじめは妻が先に小川町を見つけたんですけどね。

山下由美子さん:小川町は和紙も有名なんですけど、はじめは私、和紙づくりの体験に来たんですよ。そしたら、以前修行していた東京のパン屋に小麦を卸しているという方に出会って、縁を感じて…。そしたら有機農業がさかんな町だということもだんだんわかってきて、そこからでしたね。

磯木:そういうコンセプトだと小川町はピッタリですよね。

由美子さん:そうなんです。もう、他ではできないです。

(裏口から)農家さん:こんにちは~!

山下さん:ちょうど今日も農家さんが野菜を届けに来たみたいです。

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この日も季節の旬野菜を仕入れ。また、おいしいごはんになることでしょう。

旅を終えて

小川町は、驚きがたくさん詰まった町だった。それは、有機野菜のおいしさももちろんだが、野菜づくり、ビールづくり、日本酒づくり、和紙づくりなど、話を聞くほどに「やってみたい!」と思えるような体験プランが町中にあふれていたから。まるで、食と手仕事を楽しむ大人のアミューズメントタウン。きっと、通うほどに虜になってしまうのだろう。また、まちには都心から来るというサイクリング客や、登山客の姿も多く、そんな楽しみ方もありそうだ。小川町は、都心の遊びに飽きた人をわくわくさせてくれる町である。

■今回訪れた場所

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有機野菜食堂『わらしべ』
TEL.0493-74-3013
埼玉県比企郡小川町小川110-1
営業/8:00~15:00(LO14:30)17:30~20:30(LO20:00) 月・火定休

■著者/磯木淳寛(いそき あつひろ)さん

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食と地域を耕す編集者/プランニングディレクター

自然と共生する価値観と地域の可能性をテーマに雑誌媒体などに取材・執筆・企画。2013年から現場に身を投じるべく、海と里山のある千葉県いすみ市に在住。地域の営みを観察し未来をつくる書き手を増やすための合宿型ライター・イン・レジデンス「ローカルライト-地域の物語を編む4日間」を主宰し、全国で開催。石巻復興町づくり情報交流館コンテンツ編集デスク。季刊自然栽培「見えないものを見る」連載中。近刊予定として『「小商い」で自由にくらす~房総いすみのDIYな働き方』(2016年秋発刊予定)。

※記事は2016年11月19日(土)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります

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