グリーン電力やバラの再利用。さまざまな視点からSDGsに挑む/帝国ホテルの取り組み【ホテルと考える、これからのわたし】
ホテルと考える、これからのわたし

グリーン電力やバラの再利用。さまざまな視点からSDGsに挑む/帝国ホテルの取り組み【ホテルと考える、これからのわたし】

更新日:2020/10/27

ホテルは非日常を楽しめる、身近にある素敵なスポット。だけど実は、これからミライをよくしていくための工夫もたくさん詰まった場所。今回は2020年11月3日に開業130年を迎える、日本を代表するホテルのひとつでもある『帝国ホテル』に、環境やフードロスなどSDGsに対する取り組みについて教えていただきました。

ホテルと考える、これからのわたし/帝国ホテルの取り組み

おもてなしも環境への配慮も。常に新しいことに挑戦

おもてなしも環境への配慮も。常に新しいことに挑戦

日本で初めてバイキングスタイルでの食事の提供やホテルウェディングの確立、ディナーショーを行うなど常に新しいことに挑戦してきた帝国ホテル。2001年から社長を委員長とする「環境委員会」を発足し、社会の課題でもある環境への対策をおもてなしの一環として、早くから環境負荷を減らすためにさまざま視点から取り組んできた。
さらに2020年4月からは、SDGsに積極的に取り組む「サステナビリティ推進委員会」という名称で組織を改め、フードロス対策やプラスチックごみの削減、生ごみのリサイクルなどを担当する「3Rチーム」と、エネルギー使用量やCO2削減を目的とした「省エネルギーチーム」を設置。ごみの徹底した分別やグリーン電力の活用をはじめ、ワインのコルク栓や客室アメニティのリサイクル、ダウンライトに使うLED電球を国内電気メーカーと共同開発するなど、多岐に渡ってプロジェクトを展開している。

おもてなしも環境への配慮も。常に新しいことに挑戦

「サステナビリティ推進委員会には社内のさまざまな部署のスタッフが関わっているため、今後はさらにそれぞれが現場で感じたことや、アイデアが生かされていくと思います」と総務部の大貫勝さん。
もともとは海外からの賓客を招くために誕生した帝国ホテル。日本を代表するホテルとして訪れる人からの期待が高く、評価は「さすが帝国ホテル!」か「帝国ホテルともあろうものが」に二分されるという。
「2020年は開業130周年を迎える節目の年です。今後は人権啓発や地域への貢献など、SDGsへの取り組みはますます活発になるでしょう。改めて初心に帰って、企業理念やサービス向上についても学び直す1年にできたらと思います」

【PICK UP】帝国ホテル 注目の取り組み

グリーン電力をレストランや宴会場で活用

グリーン電力をレストランや宴会場で活用

帝国ホテルでは2005年よりグリーン電力(太陽光や水力、風力などから作られる自然エネルギー)を積極的に採用。グリーン電力を利用した電気自動車充電スタンドの設置や、クリスマスイルミネーションにも活用している。ブフェレストラン「インペリアルバイキング サール」でも、毎週月曜日のディナータイムは“ECOマンデー”として照明や空調にグリーン電力を使用している、

「ECOマンデーにご来店のお客様には、ご参加いただいた感謝の気持ちとして「ウェルカムカクテル」をご提供しています。ご宴会プランにもグリーン電力利用のご案内をしているのですが、環境活動に関心の高い企業様や、ディナーショーにもご活用いただいています」

「おいしい」の背景にある、環境への取り組み

「おいしい」の背景にある、環境への取り組み

ホテル内の各レストランで大切にしているのは、食材を無駄なく使いきること。仕入れ管理を徹底し、魚の骨でスープを取るなど、季節の味覚を余すことなく使うことにも力を注いでいるという。
また、ラウンジでは環境を守りながら栽培した「レインフォレスト・アライアンス認証」を受けたコーヒーを使用している。

「ブイヤベースは、昭和初期から帝国ホテルで提供し愛されてきたメニューですが、魚の骨などを煮込んで出汁を取って作っており、ひとつの食材を大切に使い切るという取り組みのひとつでもあります。何気なく口にしている料理やコーヒーが、環境に優しい取り組みのひとつだと知ると嬉しいですよね。今後は季節の素材を活かした期間限定メニューなども登場する予定です」

スタッフのアイデアから生まれた循環型リサイクルのカタチ

スタッフのアイデアから生まれた循環型リサイクルのカタチ

現場で働くスタッフ一人ひとりが、環境への取り組みを積極的に行っているのも帝国ホテルの特徴の一つ。レストランや宴会場のスタッフが、使用した紙パックや使用済みの紙製コースターを回収・分別し、トイレットペーパーやペーパータオルにリサイクル。さらにそれをホテルで購入することで、循環型リサイクルを実現している。
また、館内に飾られているバラを使って、客室係スタッフが中心になってポプリを作成し、手作りのポプリは宿泊客に贈るという試みも。(現在は休止中)

「ポプリは乾燥させたバラの花びらにアロマオイルで香りをつけ、作りあげます。どちらもスタッフの「もったいない」「なにかできないか」という声から始まった取り組みです」

ホテルといえばちょっと贅沢で、特別な時間を過ごす場所。“SDGs”と聞くとハードルが高いと感じるかもしれないけれど、そんなとっておきのホテルで食事や宿泊することが、誰かの笑顔やしあわせにつながっているかも。まずはここから、一緒にはじめてみませんか?

DATA

スポット名
帝国ホテル
電話番号
0335041111 0335041111 (代表番号)
住所
〒100-8558東京都千代田区内幸町1-1-1 Map
交通アクセス
東京メトロ日比谷駅A13出口よりすぐ
JR有楽町駅日比谷口より徒歩約5分
ホームページ
公式HP

【特集】ホテルと考える、これからのわたし

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私だけがしあわせじゃなくて、私も誰かもしあわせになれる、そんな場所として、ホテルの魅力を再発見しませんか?

PHOTO/AYA MORIMOTO、WRITING/MINORI KASAI

※記事は2020年10月27日(火)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります