編集部の「いい1日」リポート

10年後も行きたいカフェ・代々木八幡編

更新日:2018/05/25

この連載では、編集部員が見つけた「いい1日」のヒントをご紹介していきます。特集のためのリサーチから、個人的な趣味の散歩、その他もろもろ、よりみちで出会ったことや感じたことをつづります。

こんにちは。編集部のタキセです。自他ともに認めるオズマガジン編集部一の「カフェマニア」です。私タキセの担当回では、10年以上続くカフェの色あせない魅力を探っていこうと思っています。10年後も行きたくなるカフェのことを、思い浮かべながら読んでいただけると嬉しいです。

ボックス風の席。2人以上推奨の席なので、ソロ派の私には憧れの席です。上部の広い白壁がスクリーン代わりになり、映画などが投影されます

映画が観られる、映画みたいなダイナー

真夏みたいに暑い日の翌日は、秋のような冷たい雨がシトシト。
季節の変わり目は、体調を崩しやすいですが、お元気でしょうか?

私にとって、暑い日も寒い日も、毎日でも行きたいのが、代々木八幡にある「ミッドダイニング」です。

もともと「mid.」という名前でしたが、ちょうど10周年を迎えた2017年、店名も店内もメニューもリニューアルして「ミッドダイニング」になりました。

この連載のテーマである10年以上続くカフェには、それぞれにさまざまな歴史が刻まれています。諸行無常。ずっと同じように見えても、変化は常に起き続けています。「オブジェが変わったな」とか、「メニューが増えたな」とか、よく行くカフェでも、そんな小さな変化を発見しては、ニヤリとするのが私のひそかな楽しみです。

このミッドダイニングのようにリニューアルをした場合は、大きな変化に驚いたあとに、変わらないよさや、かつての面影を見つけるのもまた楽しいもの。

少々懐かしい、学食のような雰囲気があった「mid.」時代のインテリアが好きでした。でも、現在の爽やかで洗練された「ミッドダイニング」も、すぐに好きになりました。親しみやすい雰囲気は変わらず、さらに以前より間口が広がった印象です。

ワンフロアに50席以上がゆったりと配置されている広さと、高い天井の空間は、都会の真ん中のカフェにしてはめずらしく贅沢なつくり。中でも私がいちばん好きなポイントは、ベンチ型ソファを並べたアメリカンダイナーのようなボックス風の席です。

「ハイ、メアリー。恋の調子はどう? ホットドッグでもかじりながら、聞きたいわ」

・・・みたいな、若干古い、ベタすぎるアメリカ映画のワンシーンを妄想してみたり。ちなみにこの席が並ぶ壁にはプロジェクターから映画が投影され、ひとりで行くとついぼんやり見入ってしまいます。

リニューアルで配置は変わり、ソファも新しくなったのですが、このボックス席がなくならなかったのはラッキーでした。

ディナープレートのメニューより、豆腐とひじきのチキンハンバーグ アボカドのせ御膳1650円。ごはん、味噌汁、副菜3品とドリンクが付きます

心の真ん中にいてほしいカフェ

メニューのポイントは、ランチはもちろん、深夜でも、一汁三菜のバランスのよい定食が味わえること。このしゃれた空間で定食、というギャップが、心憎い。もちろん、パスタもケーキも、アルコールやおつまみ、そしてパーティプランまであり、いつ誰がどんなときに訪れても気分とお腹を満たしてくれます。

実際、日中には親子連れがお茶をしたり、ご近所の常連とおぼしきシルバーヘアのマダムがランチをとったり。逆に夜はパソコンと向かい合って仕事をしている人や、大人数でミーティングをする集団に遭遇したこともあります。

私がミッドダイニング(当時はmid.)を最初に訪れたのは、もう10年近く前だと思うので、きっと開店から間もない頃。時間帯だけは覚えていて、深夜12時に近かったと思います。

深夜営業しているカフェを探しては、当時住んでいた千駄ヶ谷から自転車で遠征するのが、ちょっとしたマイブームでした。ひとり暮らしにも慣れ、家族と暮らしている頃にはできなかったことをして、自由を謳歌している気分を味わいたかった・・・青い思い出の日々です。

mid.のある山手通りは、車の往来こそ途切れないものの、夜中の12時ともなればほとんどのお店は終わっていてひっそり。そんな中、mid.のドアから漏れるオレンジ色の光を見つけただけで、少々心細かった気持ちが温まりました。

外の静けさから一転、店の中は深夜だというのに席が半分くらい埋まり、にぎわっていました。そのにぎわいの中に身を置くと、なんだかほっとしました。温かいドリンクを飲んだらさらにほっ。意気揚々とひとりの自由を謳歌しているつもりが、やっぱりどこかさびしくて、人恋しくてカフェに足が向いていたのかもしれないという自分に気付きました。

今、私は幸いなことにこのミッドダイニングまで歩いて行ける距離に住んでいて、リアルなご近所カフェとしてよく訪れます。夜の定食には、何度も腹ペコを救われました。特に最近は、原稿を書いたり企画を練ったり、なぜか仕事がはかどるので長居させてもらうことも(迷惑にならないように気を付けます・・・)。

さびしさを温めてくれた最初の出会いから比べると、私も少しは大人になったはずですが、こうしてまた別のかたちでミッドダイニングに助けられています。これからも私の真ん中(ミッド)にいてほしいカフェのひとつです。

あなたが10年後も行きたいカフェはどこですか?

おまけの1枚。また別のある日は冷たいカフェラテを。フォームミルクがのっていて、コースターもかわいいイラスト入りで。こういうひと手間に、カフェの神様が宿るはず

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※記事は2018年5月25日(金)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります