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育休中にはどんなサポートがあるの?育休とお金についてFPがわかりやすく解説

更新日:2021/03/21

ここ数年、働き方改革が話題になり、それに伴って「育休」についてのニュースを目にする機会が増えた人も多いはず。ただその割に、実際にどんな制度で、もらえるお金はどれくらいなのかなど、育休中のサポートについてきちんと知る機会は少ないのでは? そこで、育休制度の仕組みやもらえるお金などについて、ファイナンシャルプランナーの佐藤さんに聞いてみました。

育休中にお給料はもらえる?金額は?

育休中にお給料はもらえる?金額は?

育児休業を取ったときにもっとも気になるのが「お金」のこと。有給休暇のように、お給料はもらえるの?
「法的には、育休中の従業員にお給料を払う義務は会社にはないんです。ただ、それでは安心してお子さんの子育てができませんよね。そこで、育児休業中は加入中の雇用保険より『育児休業給付金』が支給されると決められています。雇用保険への加入が条件になるので、雇用されていない自営業者やフリーランスは対象外です」と佐藤さん。

では育児休業給付金は、どれくらいもらえるの?
「育児休業の開始から6カ月は育児休業開始時の『賃金日額』の67%、その後は50%が1日あたり支給されます。賃金日額とは、育児休業を開始する前、6カ月間の賃金の合計を180で割った金額になります」(佐藤さん)

例えば、休業開始前の6カ月間の月給が平均30万円の場合、以下のような計算になるとのこと。

●育児休業開始時の賃金日額
180万円(育児休業開始前6カ月間の賃金合計)÷180=1万円

●育児休業の開始から6カ月までの給付金
1日あたり:1万円×67%=6700円
1カ月あたり:6700円×30日=201000円

●育児休業の開始から6カ月経過後の給付金
1日あたり:1万円×50%=5000円
1カ月:5000円×30日=150000円

通常の給料に比べて、かなり減ってしまうような気がするけれど・・・。
「育休期間中は社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料)が免除されるので、実質的には、育休前の賃金の80%程度が育休期間中に保障されることになると思います。ただし支給額には上限があり、支給対象期間中に賃金の支払いがある場合は減額される場合もあるので、詳細は会社の担当者などに確認してください」(佐藤さん)

育児休業給付金をもらうための手続きや注意点は?

育児休業給付金をもらうための手続きや注意点は?

育児休業給付金はいつまでもらえるの?
「育児休業給付金の給付期間は、原則1年で最大2年まで延長可能です。具体的には、1歳以降または1歳6カ月以降の2回のタイミングで、それぞれ半年間延長できます。延長の条件は、保育園に入所を希望しても入所できないなどの事情がある場合です」と佐藤さん。

ではもらうためにはどのような手続きが必要?
「育児休業給付金の給付手続きは、会社が代行で行ってくれます。その際に会社に提出する書面がありますが、育休を取得するタイミングやケースによって提出期限が異なるため、あらかじめ会社の担当者に確認して準備しましょう。
さらに、そもそも自分が給付の条件を満たしているか、あらかじめチェックしておくことも重要です。育児休業給付金の給付条件には、雇用期間、雇用保険の被保険者期間などが関わってきます。そのため、契約社員の方だけでなく、正社員で転職直後の方なども対象外になるケースがあるので注意が必要です」(佐藤さん)

また勤務先でボーナスが支給される場合、産休・育休の取得によってボーナスがもらえなくなることはないが、ボーナス算定期間の関係で減額になるケースもあるそう。気になる人は就業規則などで確認しておいて。

男性には育休制度はある?女性との違いは?

男性には育休制度はある?女性との違いは?

男性も育児休業給付金を受け取れるの?
「男性も育休を取得した場合、女性と同様に育児休業給付金が給付されます。ただ、女性とは育休期間と育休取得回数など、いくつか違うところもあります。
まず育休期間は、女性より長く取得することもできます。パパ・ママ育休プラスと言って、男性が配偶者とともに育休を取得する場合、原則1年までの休業可能期間が、1年2カ月に達するまでに延長されます。期間を延長する場合の最長2年は女性と同様です。
また、男性は条件次第で育休を2回取得することもできます。具体的には、子どもが生まれ、男性が8週間以内に育休を取得しその期間内に育休を終了した場合、2回目の育休を取得できます」と佐藤さん。

「残念ながら、男性の育休取得率はまだまだ低いのが現状ですが、2025年までに男性育児休業取得率を30%とする旨が政府より明示されています。それにともなって、男性の育児参加に関する制度改正が行われていく可能性もあるので、注目したいところです。
実際に直近では、育休と別の『男性産休』を認める形で、育児・介護休業法の改正案が閣議決定されており、実際に法改正されれば2022年秋ごろから制度が始まる見通しです」(佐藤さん)

児童手当や自治体独自の支援制度も

育児休業給付金以外にもらえるお金はある?
「子供が生まれると、中学校3年生まで児童手当がもらえます。生まれてから3歳の誕生月までは、1カ月あたり15000円支給されるので、これも育休中からもらえるお金のひとつになります。育児休業給付金と異なり、ご自身で役所に手続きをする必要がある点は注意が必要です。

また、育児休業給付金は最大2年ですが、自治体独自の制度として最長お子さんが3歳の年度末まで給付金を交付する自治体(東京都江戸川区など)もあります。給付金に限らず、住民サービスとして自治体独自の育児支援制度を設けている自治体もあるので、各自治体のホームページ等で確認してみてください」(佐藤さん)

国や勤務先の育休ルールや自治体独自のサポートをチェックすることで、お金の不安を解消し、安心して子育てをしていこう。

教えてくれた人

佐藤彰(さとうあきら)さん

佐藤彰コーチングFP事務所代表。
ファイナンシャルプランナー。金融機関からの独立を経て情報提供する必要性を実感し、現在は金融商品や保険を販売しない独立系のFPとして活動している。

【マネー特集】働く女性のお金のハナシ

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先行き不透明な時代、多様化するライフスタイル。お金に関して、漠然とした不安は感じるけれど、分からないことだらけ。みんなどうしてるの? 気になるけれど、聞きづらい。情報も多すぎて、どれが私に合っている話なのか、見分けもつかない。そこでOZmallが女性たちに、これから先も“私らしく”過ごしていくために必要なお金の新常識を提案します。

※記事は2021年3月21日(日)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります