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2022年度から大きく変化?家庭科で習う金融教育についてFPがわかりやすく解説

更新日:2022/06/07

大人になって痛感する、お金のこと。自分で責任をもってお金を管理したり資産運用しなくてはならないなんて、学校で教えてくれればよかったのに!と思っている人も多いはず。そんな中にわかに報道されている、2022年度から高校でスタートした「金融教育」について、ファイナンシャルプランナーの氏家祥美さんがわかりやすく解説。

18歳から大人。高校生の金融教育がますます重要に

18歳から大人。高校生の金融教育がますます重要に

2022年4月から成年年齢が18歳に引き下げになったのは周知のとおり。これにより、18歳から大人としての“責任”を持つことになる、と氏家さん。

「大人としての責任とは、契約責任のこと。親の許可を得なくても自分の意志で契約を結べるようになります。未成年者の契約は親が後から取り消しできる未成年者取消権がありますが、成年年齢が18歳に引き下げられたことで、18歳、19歳が結んだ契約は後から親が取り消しできなくなりました」

18歳といえば、高校3年生や高校を卒業したばかりの年齢ですよね。

「アルバイトすらしたことがない学生でも、18歳になればクレジットカードを作ってリボ払いで買い物ができますし、10年パスポートを作ってカード払いで海外旅行もできてしまいます。あとから支払いの困難さに気づいても後の祭り。多額の借金を抱えても自己責任ですから、元金と金利をあわせて返済していくしかありません」(氏家さん)

知らなかったでは済まないからこそ、子どもたちもこれまで以上にお金の知識を身につけておく必要性が高まっている時代なのかも。

家庭科で学ぶお金の授業はどんな内容?

家庭科で学ぶお金の授業はどんな内容?

高校生がお金について学ぶ科目は家庭科、というのが少し意外な気もするけれど?

「学習指導要領によると、家庭科では『生涯にわたって自立し共に生きる生活を創造するために、家族や家庭、衣食住、消費や環境などにかかる生活事情を』学びます。学習範囲がとても広い科目の中で、お金についても自立した生活者としていかに生きていくかを『消費生活』の視点で学びます。

具体的には、家計管理、契約、社会保障制度、金利、リスクとリターンなど。社会の一員として仕事をし、給与の中から税や社会保険料を納める、消費者として買い物をする、金融商品の説明を受ける、契約を結ぶ。こうしたことを一つ一つ自分の頭で理解して、だまされずに選び取り、自らの暮らしに役立てるための知恵を身につけます」(氏家さん)

金融商品にも一歩踏み込んで伝えるようになった理由

金融商品にも一歩踏み込んで伝えるようになった理由

今の大人たちは、学校ではお金のことを教わった記憶はないけれど・・・。

「実は以前より、家庭科ではこのような基本的な金融リテラシーを身につける教育がされていました。

しかし、『2022年4月から家庭科で投資教育が始まる』というのも、少々言いすぎです。家庭科は実に幅広い科目で、その中の一部に消費生活があります。消費生活では、契約や金利など基本的なことが重視され、投資信託や保険といった金融商品はその先にあるにすぎません。1年間の授業時間から考えて、投資についてまとまった時間をとれる学校はごくわずかだと思われます。

成年年齢が引き下げになったことで、高校生でも18歳になれば、親の同意を得なくても証券口座を開いて株式投資や投資信託を買えるようになりました。そんな時代だからこそ、2022年使用開始の教科書では、以前に比べると金融商品についても一歩踏み込んでいる傾向があります。

限られた授業時間の中で『子どもたちの人生にとって大切なことを伝えたい』という思いで書かれている家庭科の教科書には、子どもたちに伝えたいお金の基本がコンパクトにまとまっています」(氏家さん)


日本の制度や世相が変わっていくのに合わせて、教育の場も変化していくもの。学校で金融教育を受けた学生たちの将来が日本を変えるかも?

教えてくれた人

氏家祥美(うじいえよしみ)さん

ハートマネー代表。
ファイナンシャルプランナー・キャリアコンサルタント。家計の見直し相談や講演活動を通じて、お金の基礎知識を伝えている。お金だけじゃない『幸福度の高い家計づくり』を総合的にサポートしている。zoomなどを使ったオンラインでの家計相談も受付中。

【マネー特集】働く女性のお金のハナシ

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先行き不透明な時代、多様化するライフスタイル。お金に関して、漠然とした不安は感じるけれど、分からないことだらけ。みんなどうしてるの? 気になるけれど、聞きづらい。情報も多すぎて、どれが私に合っている話なのか、見分けもつかない。そこでOZmallが女性たちに、これから先も“私らしく”過ごしていくために必要なお金の新常識を提案します。

※記事は2022年6月7日(火)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります