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不妊治療に保険は使えるの?費用や助成制度は?知っておきたいお金の知識をFPが解説

更新日:2020/07/19

約5.5組に1組の夫婦が不妊治療を受けたことがあり、赤ちゃんの17人に1人が体外受精や顕微授精といった生殖補助医療によって誕生しているそう。お金がかかると聞いたことはあるけれど、どんな治療にどれくらい費用がかかるの? 保険は適用できないの? あまり人に聞けない不妊治療のお金について、ファイナンシャルプランナーの氏家祥美さんに、わかりやすく解説してもらいました。

不妊治療の種類とは?保険は適用できる?

不妊治療の種類とは?保険は適用できる?

赤ちゃんを欲しいと思ってもなかなか授からない場合、女性、男性、それぞれが検査を受けて必要に応じて治療を行います。それでも原因がわからない、成果が出ない場合には、タイミング法→排卵誘発法→人工授精→体外受精というように、順番にステップアップをして不妊治療をしていくのが一般的(※)。

「タイミング法や排卵誘発法などは保険が適用されますが、人工授精や体外受精といった高度な治療は公的保険の適用外となるため、1回あたりの自己負担額も高額になります。年齢や状態によって選択する治療は変わってきますが、1回の治療で数十万円かかることもあります」(氏家さん)

※それぞれの治療法の詳細については、日本生殖医学会のQ&Aをご覧ください

不妊治療に使える、国と自治体の制度をチェック

不妊治療に使える、国と自治体の制度をチェック

高額な治療を受けるにはお金が厳しい・・・そんな人のための制度はないの?
「国や自治体には、保険が適用できない高度な不妊治療を受ける場合の経済的負担を緩和するために、さまざまな制度が用意されています。
『特定不妊治療助成制度』は、特定不妊治療(体外受精・顕微授精等)を受けた場合、1回の治療につき15万円を助成する制度。この制度では、男性に対する顕微鏡下精巣内精子回収法の治療にも同様に15万円を助成しています。
また、不妊の検査や、一般不妊治療(タイミング法、薬物療法、人工授精等)を対象とする助成制度を設けている自治体も多数あります。お住まいの市区町村や都道府県のホームページで、『不妊治療 助成』といったキーワードで検索をしてみましょう」と氏家さん。

助成制度を受けるときに注意することはある?
「不妊治療は年齢によって期待できる効果が異なることから、助成回数も年齢によって差がつけられています。初めて助成を受ける時の妻の年齢が39歳以下なら最大6回、40歳以上43歳未満なら最大3回、43歳以上は対象外となります。可能な限り、早めに動き始めたいところです」(氏家さん)

不妊治療と仕事の両立がポイント
厚生労働省 平成29年度「不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査」

不妊治療と仕事の両立がポイント

そのほかに不妊治療のお金に関して注意しておきたいことはある?
「不妊治療を続ける中で大きな悩みとなりやすいのが、治療と仕事の両立です。通院のために休みを取る回数が増え、先の予定が立たないと仕事にも支障をきたしやすくなります」と氏家さん。

厚生労働省の統計によると、「不妊治療と仕事を両立している・両立したいと考えている」人が53.3%いる一方で、「両立できずにどちらか一方をあきらめた人、雇用形態を変えた人」の割合が34.6%に達している。

「不妊治療と両立できずに仕事を辞めると、不妊治療費の捻出や、子どもを授かった後の教育資金の捻出に苦労する可能性もあるのが悩ましいところです。
半休や時間給、フレックスタイムやテレワークなど、治療時間を確保できる会社の制度を探してみましょう。不妊治療について職場の上司や同僚にも相談して理解が得られると、より続けやすくなるでしょう」(氏家さん)

教えてくれた人

氏家祥美(うじいえよしみ)さん

ハートマネー代表。
ファイナンシャルプランナー・キャリアコンサルタント。家計の見直し相談や講演活動を通じて、お金の基礎知識を伝えている。お金だけじゃない『幸福度の高い家計づくり』を総合的にサポートしている。zoomなどを使ったオンラインでの家計相談も受付中。

【マネー特集】働く女性のお金のハナシ

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※記事は2020年7月19日(日)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります