本牧海づり施設 ローカルモーニング

日の出からの1時間が勝負。本牧埠頭に集う釣人の朝_ローカルモーニング~朝の景色

更新日:2021/12/20

ローカルの日常を訪ねる「ステイケーション」。滞在中に出会える、その町ならではの朝の風景をフォトグラファー嶋崎征弘さんの一枚の写真と文でお届けします。今号は神奈川県・横浜市、本牧埠頭にある「本牧海づり施設」。この町ならではの朝の風景、ぜひみなさんもご体験ください

正面から昇る朝日に目もくれず、釣人は竿をふる

 11月末の土曜日、数日前からようやく冬らしい締まった空気。湾岸線の高いところから見える、橙色の朝日を横目に一路車を横浜方面へ。本牧海づり施設に到着したのは朝6時半。朝日が昇る少し前の静かな時間。既に30人ほどがそれぞれの武器(釣具)を携えて列をつくり、待機している。

7時、いよいよ開場。防波堤の階段を駆け上がり、桟橋目がけて各自目的のスポットに急ぐ。自分はというと、正面から昇る朝日が神々しすぎて、しばらく立ち止まってしまう。釣り人は、そんなことは気にしない。日の出からの1時間が勝負。これを朝マズメと言うらしい。

 釣り人のバケツを覗いて、アジ、カサゴなどが入っているのを見ると、自分も釣れる気がして、久方振りの海釣りに挑戦した。いかにも熟練の釣り人が「ここどくから」と、場所を譲ってくれた。不慣れな手つきで、さびき釣りの仕掛けをゆっくりと落とす。最初はそれだけで胸が弾む。30㎝のサバを想像して構え、竿とにらめっこ。沈黙は30分、1時間と続き、当たりすら一度もなくぼうず。漂うクラゲを見て喜ぶ始末だった。

 釣果はどうあれ、都内から1時間ほどのところで、朝から十分に満たされた時間を過ごすことができた。帰りに本牧で街中華を食べて、東京へ戻った。

今回訪れたスポット:神奈川県・横浜市/本牧海づり施設

遠くに房総半島、三浦半島を望む、横浜本牧埠頭の先にある海釣り施設。護岸と桟橋に用意された釣場では、イワシやアジ、サバから大物のクロダイやスズキまで狙える。釣具レンタルもあるので初心者でも気軽に訪れて。

TEL:045-623-6030
神奈川県横浜市中区本牧ふ頭1
営業時間/11 ~2月 7:00~17:00、3月6:00~18:00、4~10月6:00~19:00

ローカルモーニング 鎌倉あの朝

写真と文 嶋崎征弘

フォトグラファー、長崎県佐世保市生まれ。西澤崇氏に師事後、2014年に独立。本誌をはじめ、雑誌、広告などで活躍中

PHOTO&TEXT/MASAHIRO SHIMAZAKI
※メトロミニッツ2022年1月号「ローカルモーニング」より転載 

※記事は2021年12月20日(月)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります