腹痛やイライラだけじゃない、生理の意外な症状。原因と対処法は?
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腹痛やイライラだけじゃない、生理の意外な症状。原因と対処法は?

更新日:2022/02/22

腹痛や腰痛、イライラなど、生理の前後で不調を経験している人はきっと多いはず。実は、生理の前後ではこうした不調以外にも、さまざまな症状が現れる場合があるのだとか。そんな生理の意外な症状について、原因と対処法を産婦人科医の柴田綾子さんに聞いてみよう。

生理前後の不調を引き起こす、PMS(月経前症候群)と月経困難症

生理前後の不調を引き起こす、PMS(月経前症候群)と月経困難症

生理前後の不調として代表的な症状といえば、生理痛や精神的なイライラなど。でも、こうしたよく見られる症状以外にも、頭痛、便秘、下痢、吐き気、むかつき、発熱、肌荒れなどが起こる場合もあるのだとか。これらが毎回生理の前に起こる場合は「PMS(月経前症候群)」、生理が始まる直前や開始と同時に現れる場合は「月経困難症」の可能性があるのだそう。

PMSは、女性ホルモンである「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の分泌が生理前に急激に変化することによって、体内ホルモンや脳内の神経伝達物質の働きが乱れて起こると考えられている症状。一方、月経困難症は生理時に子宮を収縮させる「プロスタグランジン」という物質が過剰に分泌されて、子宮が収縮しすぎることで起こると考えられているという。でも、1人ひとり症状が違うのはなぜ?

「PMSや月経困難症を悪化させる原因のひとつにストレスがあり、その影響が個人の体質などによって異なるためだと考えられます。不調の原因がPMSの可能性がある場合は、生理前にストレスがかからないよう、リラックスして十分に休むことが大切です。心身に負荷がかかりそうな仕事や、疲労がたまりそうな予定などは、生理前のタイミングには極力入れないことがおすすめです。月経困難症についてもストレスをためないことが予防や改善につながります。生理痛に対してはお腹を温めると症状の改善に役立つので、無理のない範囲で湯船にしっかり浸かって体を温めるのもいいでしょう」(柴田さん)

“症状日記”をつけて、自分に合ったセルフケア法を見つけよう

“症状日記”をつけて、自分に合ったセルフケア法を見つけよう

PMSや月経困難症をセルフケアで予防するためには、“症状日記”をつけることが有効なのだとか。どんなときにどんな痛みやつらさが生じるか、どんなときにラクになるかなどを記録しておくことで心身のリズムがつかめるようになり、「このタイミングでつらくなりそうだから体を休めよう」「こういう症状のときはこういうリラックス方法だとラクになる」といった自分ならではの対処法が見つかることも。

食事面では、カルシウムとマグネシウムがPMSの予防や改善に役立つのだそう。カルシウムは乳製品、小魚、大豆製品など、マグネシウムは海藻類、魚介類、大豆製品などに多く含まれるほか、サプリメントで摂取するのもおすすめ。日頃からよく摂るようにしてみて。

「そのほか、カフェインの摂りすぎはPMSの症状を悪化させる可能性が高いので注意してください。アルコールも控えめにしましょう」(柴田さん)

運動面では、PMSと月経困難症のどちらの場合も、定期的な運動を習慣にすることが症状の軽減につながるそう。つらい生理時をのぞいて週に2~3回、ウォーキングやヨガ、ストレッチなどの軽い運動をしてみよう。

症状がつらいときや妊活を始めたいときは婦人科の受診も

症状がつらいときや妊活を始めたいときは婦人科の受診も

実際に痛みなどの症状が現れたときは、まずは市販薬で対処することもできると柴田さん。生理痛(腹痛)、腰痛、頭痛にはロキソニンやイブプロフェンなどの痛み止め、便秘には整腸剤や便秘薬、吐き気やむかつきには吐き気止めで症状を抑えてみて。

ただし、こうした市販薬を服用しても症状が改善されない場合は、迷わずに婦人科の診察を受けるようにしよう。病院では、PMSや月経困難症の治療として低用量ピルや漢方薬などが処方される場合もあるのだそう。

「低用量ピルはふたつの女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)が配合されている薬です。そもそも生理に関する不調は、排卵にともなって女性ホルモンの分泌が大きく変動することが深く関わっています。低用量ピルを服用すると排卵を一時的に止めることができ、女性ホルモン分泌の変動が少なくなるため、PMSや月経困難症の改善が期待できます。また、低用量ピルの副効用によって肌荒れが改善される場合もあります」(柴田さん)

そのほかの場合で婦人科の診察を受けたほうがいいのが、妊活を始めたいとき。生理に関する不調の中には、子宮筋腫や子宮内膜症が原因となっている場合もあるのだとか。子宮筋腫や子宮内膜症は不妊の原因となることがあるので、早めに治療をしておくと安心できるはず。

セルフケアも上手に取り入れつつ、つらいときは我慢せずに婦人科を受診して生理に関する不調をケアしてみて。

教えてくれた人

柴田綾子さん

淀川キリスト教病院産婦人科医長。2011年群馬大学医学部医学科卒業。 沖縄県立中部病院を経て、2013年より淀川キリスト教病院産婦人科に勤務。2020年より現職。著書に『女性の救急外来 ただいま診断中!』(中外医学社)、『患者さんの悩みにズバリ回答! 女性診療エッセンス100』(日本医事新報社)などがある。

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WRITING/TOMOKO OTSUBO

※記事は2022年2月22日(火)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります