【医師監修】月経カップはどう使う? 使い方のコツや選び方を紹介

月経カップを使うと経血の漏れがほとんどなく、「一度使うと手放せない」という声は少なくありません。しかし一方で、向き・不向きがあるという声も。月経カップの使い方や選ぶときのポイントなどを、産婦人科医の宋美玄先生に伺いました。

更新日:2022/06/06

今回お話を聞いたのは・・・産婦人科医 宋美玄先生

丸の内の森レディースクリニック院長、一般社団法人ウィメンズヘルスリテラシー協会代表理事

産婦人科専門医・医学博士。大阪大学医学部医学科卒業。丸の内の森レディースクリニックの院長として周産期医療、女性医療に従事する傍ら、テレビ、書籍、雑誌などで情報発信を行い、産婦人科医の視点から社会問題の解決とヘルスリテラシーの向上を目指して活動中。主な著書に、ベストセラーとなった「女医が教える本当に気持ちいいセックス」がある。

月経カップとは? どんな人におすすめ?

月経カップは腟の中に入れて使う生理用品です。ソフトなシリコン素材でできたカップで、小さく畳んで腟口から押し込むと、腟内でパッとひらいて経血を受け止めます。

外すときは、カップの底にある尻尾のようなところをつかんで少し引っ張り出してから、指で挟んで腟とカップの間にすき間をつくり、腟の外に引き出します。

最初はカップが入っていることに違和感を覚えたり、挿入や取り出しに手間取ったりするかもしれませんが、「じきに慣れる」という人が多いです。カップの中が経血でいっぱいになってあふれるまでは漏れの心配がほとんどなく、ナプキンなしで過ごすことも可能。慣れれば月経期間中であることを忘れるくらい、快適に過ごせます。

基本的には性交経験がある人におすすめ

腟の中に入れて使うことから、基本的に月経カップは性交経験がある人におすすめのアイテム。性交経験がない場合でもタンポンを使ったことがあるなど、腟の中に異物を入れることが気にならない人なら、心理的抵抗なく使えるはず。

逆に腟の内部にしきりのようなものがある腟中隔(ちつちゅうかく)や、処女膜が厚く硬い処女膜強靱症といった生まれつきの症状がある人は、月経カップを使いたくても使うことが難しいでしょう。そのほか、自分の性器をさわることができない人、腟に異物を入れることに抵抗のある人は、月経カップの使用には向かないかもしれません。しかし、それ以外で月経カップに向かないという人はほとんどいません。興味があればぜひトライしてみてください。

量が多い人は経血漏れの悩みが減ることも

経血が多めでナプキンを頻繁に替える必要があったり、漏れが気になったりする人の場合、月経カップを使うことでそうした悩みが減る可能性があります。月経カップは長時間の連続使用が可能で、多い日の夜でも一晩過ごせることが多いです。経血漏れの心配はかなり減少します。月経中の旅行やプール、温泉なども不安なく過ごすことができるでしょう。

経血量が気になる人にもおすすめ

月経カップにはメモリがついているものもあり、「月経カップを使いはじめてから自分の経血量が把握できるようになった」という人もいます。月経期間中を通じた経血量は20~140mlの間なら正常の範囲内ですが、それよりも量が多い場合は過多月経(かたげっけい)と呼ばれる、月経異常の一種に分類されます。子宮腺筋症などの病気が隠れている可能性があるので、月経カップを頻繁に取り換えなければならないほどの経血量がある人は、一度婦人科を受診してみしょう。

月経カップQ&A

「何時間続けて使ってもいいの?」「お手入れの方法は?」など、月経カップについての疑問をまとめました。

何時間続けて使える?

カップにもよりますが、12時間程度は連続使用が可能です。
「経血が漏れないうちは、いつまでも入れっぱなしにしていても大丈夫」と考える人がいるかもしれませんが、カップの連続使用可能時間が経過したら、いったん取り出し、カップにたまった経血を外に出しておきましょう。連続使用可能時間は12時間程度のものが多いです。少なくとも1日2~3回は月経カップを取り外しすることをおすすします。

洗い方やお手入れ方法は?

水やぬるま湯で洗浄+月経期間の終了後は煮沸消毒がおすすめ。
月経中は、経血がたまってカップを取り外したときに水やぬるま湯、刺激の少ないせっけんなどを使って洗い、軽く拭いてから再び挿入しましょう。外出先ではウェットティッシュなどで拭くだけでも構いません。月経終了後は煮沸消毒をして清潔にしてから、付属のケースなどにしまい、次回の月経に備えておきましょう。

どのサイズを選べばよい?

小さめのサイズからスタートするのがおすすめ。
メーカーによってはカップのサイズがいくつか用意されていることもあります。サイズが大きくなると受け止められる経血の量も多くなるため、最終的にはご自身の経血量に合わせたサイズを選べるのがベストです。ただし、はじめて使うなら、まずは小さいサイズがおすすめ。使い方に慣れてから、大きいサイズに替えていくとよいでしょう。

取り出せなくなったらどうするの?

婦人科で取り出してもらえます。
非常にまれなケースであるものの、なかには月経カップがどうしても取り出せなくなることがあります。そんなときはパニックにならずに、落ち着いて婦人科を受診しましょう。医師が取り出してくれます。恥ずかしがらずに受診してください。

月経カップにまつわるウソ・ホント

月経カップには、こんな噂がささやかれることも。噂の真偽を確かめてみました。

月経カップを使うと生理が早く終わる?

「月経カップ」と検索すると、「生理 早く終わる」といった関連ワードが表示されます。どうやら「月経カップを使うと生理が早く終わる」という噂があるようです。しかし、月経カップを使うと月経が早めに終了するという医学的な根拠は、今のところとくに見つかっていません。ナプキンなしで過ごせることにより、蒸れやかぶれといった月経中に生じやすい不快感がなくなって、早く終わったような気になることはありそうですが、月経期間に影響を与えることはないです。

月経カップを入れっぱなしにすると病気になる?

経血を含んだ生理用品を長時間付けたままにしたり、清潔でない手指で交換したりすると黄色ブドウ球菌やレンサ球菌などの菌が腟周辺で増殖することがあります。そして、それらの菌が排出する毒素が原因で、トキシックショック症候群(TSS)という病気にかかることがあります。発熱や血圧低下、嘔吐、下痢、発疹、倦怠感といったかぜのような症状が突然起こり、急激に進行するのがTSSの特徴。発見が遅れるほど重篤化するので早い処置が必要です。
タンポンを腟に入れたまま取り出すのを忘れていると、TSSを発症しやすくなります。月経カップでも同様のことが起こる可能性はもちろんあります。医療用シリコンが使われている月経カップでは、タンポンよりもTSSのリスクが低いといわれていますが、リスクがないわけではありません。12時間以上の連続使用は避け、取り外しや挿入のときは手を清潔にしておきましょう。

編集部が選ぶ、おすすめの月経カップ5選

数ある月経カップの中から、編集部がセレクトしたアイテムを紹介します(※)。選ぶ際の参考にしてみてください。

※:ご紹介するアイテムは編集部がセレクトしたものです。監修の医師が効果・効能などを保障、推奨するものではありません。

ROSE CUP

日本人女性の為に作られた日本製月経カップ ローズカップ クリア

4000円

世界初の純日本製月経カップ

FDA(アメリカ食品医薬品局)対応の医療用シリコンを使用。医薬品医療機器法(薬機法)に基づいた月経カップです。カップ上部の「羽」と呼ばれる部分に厚みがあるので、カップが腟の中でしっかりと広がり、経血を受け止めます。カップ内部にはメモリが打刻されていて、経血量の把握も可能です。

エヴァカップ(EvaCup)

初めてでも使いやすい生理カップ コットンポーチ付き/チェリーブロッサム(ピンク)・サイズ1(スモール)

5060円

挿入しやすく取り出しやすい、月経カップのスタンダード

月経カップのスタンダード的形状をしたアイテム。ほどよい厚さのリム(縁)とやわらかい本体で漏れにくさと装着中の違和感の軽減を実現しました。体への安全性を第一に考え、哺乳瓶の乳首やコンタクトレンズなどと同じ、医療用シリコンを使用しています。

メルーナジャパン

メルーナジャパン 月経カップ メルーナ・クラシック (パープル/リング, Sサイズ)

3291円

先端がリング状の取り外しやすいデザイン

メルーナは世界中で注目されているドイツ製月経カップ。クラシックタイプは柔軟で折りたたみやすく、初心者でも扱いやすいのが特徴です。柔らかすぎず硬すぎず、多くの女性に適しています。先端がリング状になっていて、取り外ししやすいところがポイントです。

pia jour (ピアジュール)

タンポン式 月経カップ(アプリケーター付き)ピアジュール ウーマンカップ

5500円

アプリケーター付きで挿入がラク

カップを簡単に正しい位置まで挿入をサポートするアプリケーター付きの月経カップ。挿入・取り出し時に負担の少ないソフトタイプのカップで、最大8時間の連続使用が可能です。装着が苦手な方や月経カップ初心者におすすめです。

ディーバカップ(DivaCup)

月経カップ コットンポーチ付き (Mサイズ)

5489円

世界シェアNo.1の月経カップ

2003年の販売開始以来、世界35カ国以上で愛用されている月経カップ。3つのサイズがあり、ライフステージに合わせて最適なサイズを選ぶことが可能です。医療用シリコン100%使用。Health Canada(カナダ)、FDA(米国)をはじめ各国の医療機器承認を取得しており、カナダ産婦人科学会に認定されています。

まとめ

日本ではまだまだ、存在自体を知られていないことも多い月経カップですが、使い慣れれば、月経中のQOL(Quality of Life)は大きく上がるはずです。まだ見たことがない、不安があるという場合は、月経関連のショップや婦人科のクリニックなどで、一度実物を見てみるのもよいでしょう。思いきってトライして、月経中を快適に過ごしてみませんか。

WRITTING/NAOE YAMAMOTO

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※記事は2022年6月6日(月)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります

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