頭皮を健やかに保つ!皮膚科の先生に聞いた家庭でもできる適切な頭皮ケア

頭皮を健やかに保つ!皮膚科の先生に聞いた家庭でもできる適切な頭皮ケア

普段からしっかりお手入れしているのに、頭皮の乾燥やベタつきなどに悩んでいる人も多いのでは。そこで今回は、家庭でもできる頭皮ケアの方法を「はなふさ皮膚科」の理事長・花房火月先生に教えていただきました。頭皮ケアにつながるよい習慣やQ&Aなども紹介しているので、悩んでいる人はチェックしてみて。

更新日:2023/04/03

今回お話を聞いたのは・・・はなふさ皮膚科 花房火月先生

医療法人社団 清優会 理事長 東京大学医学部卒業後、癌研究会有明病院、東京大学医学部附属病院皮膚科、NTT東日本関東病院皮膚科を経てはなふさ皮膚科を開設。The Japan Times紙の『アジアの次世代を担うリーダー100人(100 Next-Era Leaders in Asia 2015-2016)』に選出。
はなふさ皮膚科 三鷹院、新座院、国分寺院、久我山院、志木院の5院を開設し、皮膚腫瘍を中心に皮膚疾患を幅広く受け入れているクリニック。皮膚腫瘍の治療のため全国から患者が訪れており、保険診療だけでなく美容診療も行っている。

1.頭皮ケアをおこたらないで!起こりやすい頭皮のお悩みとは

1-1.頭皮の乾燥

頭皮の乾燥は、皮脂分泌の少ない女性に特に多いトラブル。なお頭皮が乾燥する原因は、体質や使用しているシャンプーなども関係があるそう。

■乾燥しやすい体質
例えば、皮膚のバリア機能に必要な“フィラグリン”が少ない体質の人は乾燥しやすい傾向にある。皮膚のバリア機能が弱くなり、年齢に伴う皮脂分泌量の低下や、保湿因子の減少につながることも。

また、アトピーの人も乾燥しやすい体質と言える。アトピーはアレルギーが出やすく、皮膚の脆弱性によって引き起こされる。そのほかには、睡眠不足や偏った食生活など生活習慣にも依存する可能性も。

■シャンプーのしすぎ&シャンプーが合っていない
使っているシャンプーが自分に合っていないのも、頭皮が乾燥する原因のひとつ。シャンプーの種類は、アミノ酸、石けん系、高級アルコール系に大きく分けられ、成分ごとに洗浄力が異なる。自分の体質に合わないものを使うと、必要な皮脂まで洗い流してしまう場合も。

1-2.フケ

フケとは、古くなってはがれ落ちた頭皮の角質のこと。頭皮では、新しい角質細胞ができると自然と古くなった角質がはがれ落ちるため、フケは誰でも自然に出る。

しかし、頭皮の乾燥や炎症が繰り返されるうちに角質が正常に形成されにくくなり、フケが剥がれ落ちやすくなることも。

例えば一定期間シャンプーをしなければ、フケが頭皮に残って目立つようになることがあるが、洗髪で洗い落とせば目立たなくなる。きちんとシャンプーをしているのにフケが目立ってきたら、頭皮トラブルが起こっている可能性も考えられる。

1-3.頭皮のベタつき

頭皮のベタつきは、皮脂によるベタつきが原因であることが多い。また、アミノ酸や電解質などを含む汗も原因のひとつとして考えられる。

なお汗や皮脂によるベタつきが起こりやすい理由は、以下の通り。

■1.ホルモンバランス
皮脂を分泌する皮脂腺が大きくなるのは、男性ホルモンが原因。特に皮脂量が増える思春期などは、頭皮がベタつきやすくなる。

■2.季節
特に湿度が高い春夏は、頭皮がベタつきやすくなるので注意が必要。

■3.洗髪しすぎによる頭皮の乾燥
髪を洗いすぎることで頭皮が乾燥し、皮脂が過剰に分泌されることも。第一の原因にはなりにくいものの、原因になり得ることを頭の片隅に置いておくとよい。

また頭皮のベタつきは、女性よりも男性に多い傾向がある。原因に合わせて適切なケアを取り入れよう。

1-4.頭皮のかゆみ

頭皮が乾燥すると、角質層が乱れて外からのストレスを受けやすくなり、かゆみを感じやすくなる。肌が乾燥すると、かゆみを伝える神経の末端部分が表皮にまで伸び、慢性的なかゆみにつながってしまう。

そして、強くかいてしまうことで傷ができ、かさぶたになってしまうことも。そして慢性的にかさぶたができた状態になると、炎症後脱毛症につながる場合もある。特に乾燥しやすい人は、毎日のケアで乾燥を防ぐことが大切。

2.家庭でもできる適切な頭皮ケア

2-1.自分に合ったシャンプーを使う

シャンプーの洗浄力が高くなれば、その分頭皮への負担が増える。どんな種類のシャンプーを使うのが最適かどうかは、髪や頭皮の状態によって1人ひとり異なるため、自分に合ったシャンプーを選ぼう。

■シャンプーの種類の例
・アミノ酸系:洗浄力が弱め、頭皮への負担が少ない
・高級アルコール系:洗浄力が高め
・石けん系:洗浄力が高め

例えば乾燥肌の人は、洗浄力の強いシャンプーを使うとかさつきが悪化してしまう可能性も。こういった場合は、頭皮への負担を抑えたアミノ酸系シャンプーがおすすめ。自分の肌質を考慮して、頭皮に合ったシャンプーを探してみて。

2-2.頭皮に負担をかけない洗髪をする

髪を洗うときに大切なのは、シャンプーをしっかり泡立て、頭皮を丁寧に洗い上げること。洗い残しやすすぎ残しが原因で頭皮のトラブルが発生し、フケが出てしまうこともある。

特に生え際や後頭部のあたりは、洗い残し、すすぎ残しが出やすい部分。シャンプーをするときには、細かい部分までしっかり洗って十分にすすごう。

また、爪を立てて洗うのはNG。皮膚を傷めて雑菌が入り、繁殖した場合は頭皮のトラブルにつながる可能性もある。ゴシゴシと雑に強く洗うのも、頭皮によくないので注意して。

2-3.洗髪後はドライヤーで丁寧に乾かす

髪の毛を洗った後に乾かさず放置すると、湿った環境を好む雑菌が頭皮で繁殖してしまう。そのため、シャンプー後はタオルドライだけではなく、きちんとドライヤーを使って乾かして。

また、髪が濡れたままだと頭皮が傷みやすい。生乾きの状態が習慣化してしまうと、かゆみや赤みなどの頭皮のトラブルにつながる可能性もあるので注意しよう。ドライヤーのあてすぎもよくないので、髪の毛から最低でも20cmくらいは離すのがおすすめ。

2-4.アフターケアのアイテムを使う

頭皮環境を健やかに保つためには、かゆみや乾燥対策など、自分の頭皮に合ったアフターケアが大切。例えば乾燥しやすい人は、ヘアエッセンスや頭皮用美容液などを使おう。自分の頭皮の悩みに合ったものを選んでみて。

2-5.頭皮マッサージをする

シャンプー時などに頭皮をマッサージすることで、血行促進やこりをほぐしたりすることも。頭皮マッサージのやり方は、両手で頭皮を包み込み、地肌を動かすように揉みこむのがおすすめ。

ただし、頭皮マッサージは薄毛予防や薄毛治療に直接結びつくわけではない。あくまで毛穴の洗浄やこりの解消、血行促進などが目的だと覚えておいて。気づいたときに頭皮をやさしくマッサージして、硬くなった頭皮をほぐそう。

3.頭皮ケアにつながる毎日の習慣

3-1.バランスのよい食生活を送る

栄養バランスが崩れると、ターンオーバーの乱れにつながる。そのため、頭皮を健やかに保つには、バランスの取れた食生活が基本。

最近は、急激なダイエットが原因で髪の毛が抜けてしまう人が増えている。それは「急性休止期脱毛症」と呼ばれ、一次的な症状ではあるが、水しか飲まないといった過激なダイエットによって長引くケースもある。

また極端なダイエットで無理をすると、脱毛症の原因になることも。栄養失調で角質や髪の毛の成長に影響が出たり、鉄分や亜鉛の不足で薄毛につながったりすることもあるので注意しよう。

3-2.適切な睡眠時間をキープする

睡眠不足はストレスの原因になるので、適切な睡眠時間をとることが重要。また、湿疹や炎症性疾患がある人は、睡眠不足が原因で症状が悪化してしまう可能性がある。

適切な睡眠量は7時間程度と言われているが、人によっても異なるので、自分に合った睡眠時間を知り、十分な睡眠を心がけよう。

3-3.ストレスを抱え込まない

ストレスなどが原因で皮脂が過剰に分泌され、頭皮がベタつきやすくなることも考えられる。

ストレス発散の手段としては、運動するのもおすすめ。日ごろから運動することで不純物のないサラッとした汗になり、余計な皮脂が減ることにつながる。適切に動いて、適切に洗い流すことで、ベタつきや臭いの気になりにくい頭皮をめざせる。

一般的な目安として、週3回以上、30分以上の有酸素運動を取り入れるのが理想。湯船につかる習慣や運動することを心がけて、普段から積極的に汗をかこう。

4.編集部おすすめアイテム

花王

サクセス 薬用シャンプーレギュラー

400ml 712(Amazon)円

おすすめポイント

・ノズルを地肌に直接当てて使う“直シャン”
・有効成分がフケやかゆみを防ぐ
・天然ユーカリエキス(保湿剤)配合

ノズルを地肌に直接当てて使い、毛穴汚れを落としてくれるシャンプー。サラサラのシャンプー液が頭皮全体にいきわたり、すみずみまですっきり洗い上げる。

有効成分ピロクトン オラミンが汗臭、フケ・かゆみを防ぐ。また、天然ユーカリエキス(保湿剤)を配合しているのも嬉しい。毛穴につまったアブラをすっきり落とすため、その後の育毛剤や育毛トニックの浸透もサポートしてくれる。

メントール配合で適度な冷感(清涼剤)が心地よい。コスパがいいので毎日使いやすいところも嬉しいポイント。

大塚製薬

ウル・オス 薬用スカルプシャンプー

300ml 1650円

おすすめポイント

・2種類の有効成分が頭皮を整える
・ノンシリコンでもきしまない使用感
・アミノ酸系の洗浄成分でソフトに洗い上げる

2種類の有効成分として、シメン-5-オール、グリチルリチン酸2Kを配合。細菌の繁殖や抑えて、フケやかゆみ、臭いなどを防ぐ。

シャンプーが水分と混ざる過程でリンス成分が発生する、コアセルベーション処方を採用。キューティクルへの負担を抑えられるので、リンスなしでもなめらかに仕上がる。

アミノ酸系の洗浄成分を配合し、頭皮に必要な潤いを残しながら洗い上げ、頭皮環境を整える。

ボタニスト

ボタニカルシャンプースカルプケア

490ml 1540円

おすすめポイント

・頭皮に使いやすいせっけん系シャンプー
・頭皮の汚れを浮かせて落とす
・植物由来の成分が潤いを与える

せっけん系の洗浄成分で余分な皮脂や汚れをすっきり洗えるシャンプー。弱酸性、ノンシリコン、合成着色料フリーの処方を採用しているため使いやすい。

また、頭皮に潤いを与えるローズマリー葉水を配合し、地肌をマッサージしながら洗うことで、頭皮環境を整えてくれる。

ほか、サトウキビキスやダイズなど、自然由来の成分が保湿しながら頭皮や毛髪を健やかに保つ。アップル&ライムの香りで、使うたびに気分がリフレッシュできそう。

5.頭皮ケアにまつわるQ&A

頭皮の臭いはどのように対策すればいい?

きちんと洗髪して清潔に保つことが大切になります。髪の毛よりも頭皮の毛穴をきれいに洗うイメージで、毛穴の汚れを絞り出すように洗うのがおすすめです。

指の腹でわさわさと髪をこするだけでは、毛穴の汚れを落とせません。逆に、爪を立てて洗うことで頭皮が傷つき、雑菌が繁殖することもあります。臭いの原因になるので、適切な方法で洗髪しましょう。

シャンプーは1日2回以上してもいいの?

一般的には1日1回のことが多いですが、人によって調整しても問題ありません。というのも、皮脂の分泌量や汗の量は、性別、年齢、季節、運動量によって異なるためです。

例えば、運動していて汗をかくことが多い若い男性なら、1日2回が適切な場合もあります。健やかな頭皮をキープできる、自分に合った回数を探しましょう。

高級なシャンプーを使ったほうがいいの?

高級だから上質だとは一概に言えません。高級なシャンプーは、配合されている成分の種類が多かったり、香りやテクスチャーなどがよかったりしますが、すべての成分が地肌や髪によいとは限りません。なかには、成分が多いためにかぶれてしまう人もいます。値段だけで考えず、自分に合ったシャンプーを見つけましょう。

今回お話を聞いたのは・・・はなふさ皮膚科 花房火月先生

医療法人社団 清優会 理事長 東京大学医学部卒業後、癌研究会有明病院、東京大学医学部附属病院皮膚科、NTT東日本関東病院皮膚科を経てはなふさ皮膚科を開設。The Japan Times紙の『アジアの次世代を担うリーダー100人(100 Next-Era Leaders in Asia 2015-2016)』に選出。
はなふさ皮膚科 三鷹院、新座院、国分寺院、久我山院、志木院の5院を開設し、皮膚腫瘍を中心に皮膚疾患を幅広く受け入れているクリニック。皮膚腫瘍の治療のため全国から患者が訪れており、保険診療だけでなく美容診療も行っている。

  • LINEで送る
※記事は2023年4月3日(月)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります

TOP