天皇も将軍も!歴史的な絵巻マニアたちの情熱に迫る展覧会

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文学と美術がひとつになった「絵巻」は、日本独特の芸術様式。現代では美術館などで鑑賞するイメージだけど、本来は手にとって楽しむもの。中世以降、そんな絵巻に魅了された「絵巻マニア」たちに注目した展覧会が開催される。歴史的な人物も愛好者だったことを知れば、ちょっと身近に感じられるかも。

更新日:2017/04/04

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歴代絵巻マニアたちの情熱を物語る貴重なコレクションが一堂に!

東京ミッドタウン ガレリア3階にあるサントリー美術館では、2017年3月29日(水)から5月14日(日)まで「六本木開館10周年記念展 絵巻マニア列伝」を開催。

展覧会では、12世紀から19世紀にかけての著名な歴代絵巻マニアを軸に、中世以降の天皇や貴族、将軍などが愛した数々の絵巻や史料を展示する。

最初は、絵巻制作がひとつのピークを迎えた12世紀後半に、中心的存在だった後白河院(ごしらかわいん)のコレクションを紹介。後白河院は、「遊びをせんとや生れけむ」などのフレーズで知られる平安時代の歌謡集『梁塵秘抄(りょうじんひしょう)』の撰者としても知られる、当時の文化的リーダーでもあった天皇。絵巻マニアの筆頭に挙げられる人物で、自らも積極的に制作させていたという。

不眠の女

重要文化財 病草紙断簡 不眠の女 一幅 平安時代 12世紀 サントリー美術館 【全期間展示】

例えば写真の作品は、重要文化財となっている「病草紙断簡 不眠の女(やまいのそうしだんかん ふみんのおんな)」。病に苦しむ姿を表したものだそうで、眠れずに悶々としている女性の姿には、思わず「分かる!」と言ってしまいそう。

もしかしたら、後白河院も同じ思いで見ていたのかもしれない。

14世紀にも訪れた絵巻黄金期。その隆盛を支えたトップ絵師の傑作も登場

14世紀になると、幼少の頃から絵が好きだったという花園天皇と、その父である伏見院の時代に、またひとつの絵巻黄金期が訪れたそう。

特に、当時の宮廷に仕えて絵画制作をしていた絵師、高階隆兼(たかしなのたかかね)は平安時代から続く伝統のスタイルを継承しながら、さらに芸術性の高い様式を創り上げたとされている。

写真の重要文化財「石山寺縁起絵巻」も、高階隆兼が率いる高階派の工房で制作されたもの。石山寺に伝わる逸話はもちろん、絵巻の中に描かれた貴族や庶民は当時のリアルな風俗なので、歴史的な価値も高い。

石山寺縁起絵巻

重要文化財 石山寺縁起絵巻 第一巻(部分)鎌倉時代 正中年間(1324~26)頃 滋賀・石山寺 
【全期間展示】

貴族の絵巻プロデューサーもいた!宮廷・将軍家・寺社などの交流から生まれた多彩な名作を楽しんで

高階派の作品としては、写真の国宝「玄奘三蔵絵(げんじょうさんぞうえ)」なども出展。玄奘三蔵は「西遊記」で孫悟空とともに旅をする三蔵法師のモデルとなった僧で、ファンタジーな冒険を創造力豊かに描いた作品となっている。

室町時代を代表する文化人で、和歌や古典に通じ貴族文化を発展させた三条西実隆(さんじょうにし さねたか)も、この作品を鑑賞していたという。実隆は、絵巻を鑑賞・収集するだけでなく、多くの新作絵巻にチーフプロデューサーのような役割で関わっていたとか。

このほかにも、室町幕府の足利歴代将軍家が所蔵していた絵巻など、歴史的な人物が愛蔵していたコレクションが多数展示される。教科書で習ったような人々が、絵巻を手にして楽しんでいたことを想像しながら眺めれば、絵巻マニアたちの情熱も感じられるのでは?

玄奘三蔵絵

国宝 玄奘三蔵絵 第四巻(部分)十二巻のうち一巻 鎌倉時代 14世紀 藤田美術館
画像提供:奈良国立博物館(撮影・佐々木香輔)【展示期間:3/29~4/24】

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六本木開館10周年記念展 絵巻マニア列伝

外観写真

TEL.03-3479-8600
東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3F サントリー美術館
アクセス:都営地下鉄大江戸線「六本木駅」より直結、東京メトロ日比谷線「六本木駅」より地下通路にて直結、東京メトロ千代田線「乃木坂駅」出口3より徒歩3分

会期:2017年3月29日(水)~5月14日(日) 
※会期中に展示替えあり
開館時間:10:00~18:00(金・土は10:00~20:00、いずれも入館は閉館の30分前まで)
※5月2日(火)~4日(木・祝)は20:00まで開館
休館日:火曜日 
※5月2日(火)は20:00まで開館
入館料:一般1300円、大学・高校生1000円
割引(100円割引・併用は不可)
きもの割:きものでの来館
HP割:ホームページ限定割引券提示
携帯割:携帯/スマートフォンサイトの割引券画面提示
あとろ割:国立新美術館、森美術館の企画展チケット提示

画像:(C)keizo kioku

NAOKO YOSHIDA (はちどり)

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※記事は2017年4月4日(火)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります

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