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フロド達が旅立つ”西の国”は「シルマリリオン」に出てきます。
”ヴァリノール”という神の住む場所です。
ここでは、”生あるものは全て清められ、傷いたり病んだりするこ
とはない”と言われています。
神様とエルフは不死の者ですので”不死の国”という呼ばれ方もし
ますが、普通は人間はこの地へ近づく事すら許されていません。
この地にある力は人には強すぎて逆に命を縮めてしまうことになる
し決して不死にもならないからです。
フロドはヴァラール（神様）の恩寵で西に渡ったのでしょうね。
アルウェンの領地説はヴェブ上で読みましたが、追補編でアラゴル
ンが悔い改めて船に乗れば西へ行けると言っていますのでちょっと
違うような気がします。アルウェンもエルロンドも中つ国生まれの
エルフですからそもそも西に領地があるか分かりませんし。
フロドへ西へ自分の代わりにお行きなさいというのは、サウロンが
倒され、夜の闇は夕星王妃（アルウェン）に清められ人々は夜を恐
れる事はなくなったけれど、闇の傷を負ったフロドはそれでは癒さ
れる事はないと知っているアルウェンのせめて出来る贈り物であっ
たのかと私は思っています。

アルウェンはエルロンドと同じく半エルフでエルロンドは人とエル
フどちらの生を選ぶか神様から選択を与えられました。
エルロンドはエルフとして生きることを選びましたが、双子の弟で
あるエルロスは人として生きる事を選択しました。
エルロスはアラゴルンの遠い祖先になります。
そしてアルウェンにはエルロンドと共に西へ行くか、中つ国に残っ
て力弱き存在になるかという選択が与えられました。
アルウェンはアラゴルンと共に生きる事を望みましたがそれでも彼
女が得たものをすべて失うまでは死ねない運命でした。
アラゴルンがヌメノール人に与えられた最後の恩寵（死期を定める
ことが出来る）を還す時、彼女は初めて己の身に課せられた運命を
理解するのです。彼女には子供もゴンドールもありましたからまだ
死ぬことは出来ません。それでもアラゴルンを失った悲しみに暮れ
アラゴルンと初めて出会ったた今は無人の裂け谷へ赴きさまよった
後、愛を誓ったケリンアムロスの丘へ未を横たえるのです。
アラゴルンと共に生きると運命を選択した後もエルフであるという
運命から逃れる事が出来なかった彼女は愚かしくも愛しく、悲しい
です。

日本語に訳されていない関連書籍もありますので興味を持たれたら
是非呼んでみてくださいね。
未訳本の中にはホビットは一緒にいるべきとガンダルフがビルボも
西へ誘ったとあります。
読者からの手紙にトールキン教授が「フロドもビルボも天寿を全う
して亡くなる」と答えていたりもします。

小説も何度も読み返すうちに気が付かなかった色々な事が分かって
くるし、一生楽しめる作品と私は思っています。